事業書類の窓口
申請の基本

補助金で不採択になる典型パターン

更新日:2026-09-28|公募要領の確認日:2026年9月28日|補助金 論点整理レポートはAIが作成し、お客様お一人ひとりの内容を行政書士が確認するものではありません。

要点(30秒まとめ)

  • 読んだ4制度の公募要領は、不採択の理由を個別には開示しないと書いています。 体験談や「不採択の理由ランキング」は一次情報ではありません。
  • 要領から読める「落ちる場所」は3つに分かれます。①審査に入る前に外れる、②申請内容を偽りと見なされる、③審査で相対的に不利になる。
  • ①と②は計画の出来と関係なく起きます。要領に「不採択」「失格」「審査対象とならず」と明記されている条件です。
  • ③は賃上げ計画・過剰投資・事業化の進み具合などが対象です。配点や合格ラインは、読んだ要領には見当たりませんでした。
  • ここに書くのは要領の原文の整理です。これを避ければ採択される、という意味ではありません。

この記事で書くことと、書かないこと

「不採択になる理由」を探すと、体験談やまとめが数多く見つかります。ただ、事務局が理由を個別に開示しない以上、 それらは書き手の推測です。この記事では、公募要領の本文に書かれていることだけを拾いました。 採択率そのものは、公式発表の件数から算出した 採択率の記事にまとめています。ここでは率を書かず、どこで落ちうるかを扱います。

読んだのは、省力化投資補助金(一般型)第8回、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回、 持続化補助金(一般型・通常枠)第20回、デジタル化・AI導入補助金2026(通常枠)の4つです。 ページ番号はPDFファイル上の通し番号で、表紙を1ページ目と数えています。

まず前提:不採択の理由は教えてもらえない

4制度とも、理由や審査の中身の開示には応じない書き方です。

制度要領の書き方出典
省力化投資補助金(一般型)採択結果についての理由開示と異議申し立てを受け付けていません。審査結果の詳細な内容にも答えないと書かれています。PDF 3・5ページ
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金採択結果についての理由開示と異議申立てを受け付けていません。PDF 39ページ
持続化補助金(一般型・通常枠)採択審査の結果の内容についての問い合わせには応じないと書かれています。審査は非公開で、ヒアリングも行いません。PDF 33ページ
デジタル化・AI導入補助金(通常枠)審査内容は開示せず、不採択理由も事務局から通知する事項以外は開示しないと書かれています(2026年8月28日改訂で文言が変わった箇所)。PDF 25ページ

採択結果についての理由開示及び異議申立は一切受け付けておりません。

出典:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回 公募要領 PDF 39ページ

つまり、自分の申請がなぜ落ちたのかは、通知だけでは分からないことがあります。 だから出す前に、要領が「落ちる」と書いている条件を潰しておくことが、いちばん現実的な備えになります。

パターン1:審査に入る前に外れる

内容の良し悪しを見てもらう前に、形式や要件の段階で外れる場合です。要領の書き方は、ここがいちばん強い言い方です。

不備が直らない・書類が足りない

訂正期限までに不備解消されなかった場合は不採択となります。

出典:省力化投資補助金(一般型)第8回 公募要領 PDF 3ページ

申請内容や提出書類に不備や不足がある場合などは審査対象とならず、不採択となります

出典:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回 公募要領 PDF 39ページ

持続化補助金の要領は、基礎審査の要件を満たさない提案を「失格」とし、さらに提案内容のヒアリングは行わないと書いています。 聞き返してもらえない前提で、書類を仕上げる必要があります。

要件を満たさない場合には、その提案は失格とします。

出典:持続化補助金(一般型・通常枠)第20回 公募要領 PDF 34ページ

補助対象者・補助対象事業に当てはまらない

満たさない場合は補助対象外として不採択となります。

出典:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回 公募要領 PDF 45ページ

「補助対象外となる事業」の項目を設けている制度では、該当すると判断されれば不採択(採択後でも取消)になります。 自社の事業が対象かどうかは、申請の前に要領で1つずつ確かめる部分です。

計上した経費の大半が対象外

応募申請時点で計上されている経費の大半が補助対象外経費である場合は、補助事業の円滑な遂行が困難であるとして不採択になる可能性があります

出典:省力化投資補助金(一般型)第8回 公募要領 PDF 22ページ

持続化補助金の要領にも同じ趣旨の定めがあります(PDF 19ページ)。経費の中身が補助の対象かどうかは、交付決定の前に発注してはいけない理由とあわせて確認してください。省力化投資補助金の要領は、事前着手についても次のように書いています。

いかなる理由であっても事前着手は認められません。

出典:省力化投資補助金(一般型)第8回 公募要領 PDF 22ページ

パターン2:申請内容を「偽り」と見なされる

書かなかったこと、本人が関わっていないことが、虚偽と扱われて不採択になる型です。計画が良くても結果は変わらない、と要領が書いている点に注意が要ります。

他の補助金・委託費の実績を書かない

実績があるにもかかわらず記載されていない場合、申請にかかる虚偽として、不採択となります

出典:省力化投資補助金(一般型)第8回 公募要領 PDF 14ページ

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の要領にも、交付決定を受けた実績や申請中の補助金を書かない場合は虚偽申請として不採択になる、 という趣旨の定めがあります(PDF 27ページ)。

外部の支援を受けたのに書かない

支援を受けているにも関わらず情報が記載されていないことが明らかになった場合には、申請にかかる虚偽として、不採択、採択決定の取消

出典:省力化投資補助金(一般型)第8回 公募要領 PDF 4ページ

持続化補助金の要領は、支援料金の支払いの有無にかかわらず、商工会・商工会議所を除く第三者から助言を受けたなら、 相手方と支援に係る金額(着手金・成功報酬など名目を問わず)を記載する欄があり、書かない場合は虚偽の報告として不採択・交付決定取消になると書いています(PDF 2ページ)。

事業者自身が検討していない

事業者自らが検討しているような記載が見られない場合や、自らが検討していなかったことが発覚した場合、評価に関わらず不採択・交付決定取消となります。

出典:持続化補助金(一般型・通常枠)第20回 公募要領 PDF 2ページ

作成自体を申請者以外が行うことは認められず、発覚した場合は不採択・採択取消・交付決定取消となります

出典:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回 公募要領 PDF 2ページ

専門家に相談すること自体を禁じているわけではありません。要領が線を引いているのは、計画の中身を決め、書類を作るのが申請者本人であることです。

複数応募・過去と同じ事業

万が一、複数応募が判明した場合には、すべて不採択となります

出典:持続化補助金(一般型・通常枠)第20回 公募要領 PDF 25ページ

持続化補助金は、過去に採択されて実施した事業と同じ事業と見受けられる場合も不採択になり、採択後に分かったときは遡って取り消す、と書いています(PDF 33ページ)。 同一の事業を国の他の補助事業と併願した場合は、重複して採択しない、という定めもあります。

ここまでが「防げる落ち方」

パターン1と2は、計画の優劣ではなく要領の条件との一致で決まります。要領を読み込めば、提出前に自分で確かめられる部分です。 制度ごとの審査の観点に沿って、計画の不足点を指摘するのが「事業書類の窓口」の役割です(申請書はお客様ご自身で作成いただきます)。

パターン3:審査で相対的に不利になる

ここからは「条件を満たしているか」ではなく「審査でどう評価されるか」の領域です。配点や合格ラインは、この記事で読んだ要領には見当たりませんでした。書かれているのは、見られる観点と、減点・不利になる条件です。

見られる観点は制度ごとに違う

  • 持続化補助金:計画審査は、自社の経営状況分析の妥当性/経営方針・目標と今後のプランの適切性/補助事業計画の有効性/積算の透明・適切性の4項目。 「加点審査を行い、総合的な評価が高いものから順に採択」と書かれています(PDF 34ページ)。
  • 省力化投資補助金:適格性のほか、技術面で省力化指数・投資回収期間・付加価値額の年平均成長率・オーダーメイド設備の4観点、計画面で体制・資金・賃上げ目標などを評価します(PDF 30ページ)。
  • 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金:経営戦略との整合性、事業の実現可能性などを見ます。経費が事業目的の達成に真に必要かつ合理的な額かも観点に入っています(PDF 45ページ)。
  • デジタル化・AI導入補助金:事業面(経営課題の理解、ITツールの効果とのかみ合い、セキュリティ対策など)と、政策面、計画目標値(労働生産性の向上率)の審査です(PDF 26ページ)。

制度ごとの観点に沿った計画の組み立ては、書き方ガイド(省力化・新事業・ものづくり・持続化・デジタル化・AI導入)にまとめています。

賃上げ計画が低いと「審査上大幅に不利」

最低でも、応募申請時の直近決算期から基準年度までの「従業員の1人当たり給与支給総額」の年平均成長率が物価上昇率を上回る程度の賃上げが達成されない計画の場合は審査上大幅に不利になります

出典:省力化投資補助金(一般型)第8回 公募要領 PDF 30ページ

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の要領にも、同じ趣旨の記載があります(PDF 45ページ)。 賃上げの数字を「大きく見せる」より、実際に届く水準で書くことが求められています。加点を取ったあとの未達には減点もあります (加点項目の比較を参照)。

減点になる条件

  • 賃上げ加点の未達(18か月):賃上げの加点を受けて採択されたのに要件を達成できなかった場合、未達が報告されてから18か月の間、正当な理由が認められない限り大幅に減点されます。 省力化投資補助金の要領は中小企業庁所管の補助金への申請が対象(PDF 34ページ)、新事業・ものづくり商業サービス補助金の要領は本補助金への申請が対象(PDF 50ページ)と書いています。
  • 過剰投資の抑制:特定の期間に類似のテーマ・設備の申請が集中している場合は別途審査を行い、過剰投資と判断された申請は減点されます。 新事業・ものづくりの要領は「大幅な減点を実施します」と書いています(PDF 50ページ)。
  • 他の補助事業の事業化が進んでいない:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金では、過去に新事業進出補助金・事業再構築補助金・ものづくり補助金を受給し、 直近の事業化状況報告等の事業化段階が3段階以下の場合は減点されます(PDF 50ページ)。

過剰投資と判断された申請に関しては減点を行います

出典:省力化投資補助金(一般型)第8回 公募要領 PDF 34ページ

省力化投資補助金では、案件によって口頭審査が行われる場合もあります(PDF 34ページ)。 書面に書いた数字や根拠を、自分の言葉で説明できることが前提になります。

採択されたあとに外れることもある

採択は通過点です。要領には、採択後の取消や減額の条件も書かれています。

提出期限までに見積書等の提出がなされていない場合は、採択取消しとします。

出典:持続化補助金(一般型・通常枠)第20回 公募要領 PDF 25ページ

持続化補助金は、採択されても予算の都合で希望額から減額される場合がある、とも書いています(PDF 33ページ)。 対象外経費の計上が見つかれば、その分を除いて補助対象経費を算出し直します。 交付決定より前に発注・契約した経費は対象になりません。手続きの順番は 交付決定前に発注してはいけない理由で確認してください。

要領から「読めないこと」

  • 不採択になった申請の理由別の内訳:未確認(4制度とも個別に開示しない)
  • 各審査項目の配点、合格ライン:未確認(この記事で読んだ要領には記載を見つけられませんでした)
  • どの計画が採択されたかの詳細:採択案件として公表されるのは、事業者名・計画名など制度ごとに決められた項目に限られます

この記事で読んだ4制度以外の制度(事業承継・M&A補助金、自治体の助成金など)は、要領ごとに定めが違います。 申請する制度の要領で、同じ観点を確かめてください。

出す前に自分で確かめる8項目

要領が「落ちる」と書いている条件を、提出前のチェックに置き換えたものです。これで採択が決まるわけではありません。

  1. 申請する回の公募要領で、補助対象者・補助対象事業・補助対象経費の条件を1つずつ確かめた
  2. 必要書類がそろい、ファイルの形式や名前の指定にも合っている(差し戻しの期限に間に合わない事態を作らない)
  3. 他の補助金・委託費の実績や、同時に申請している事業を、記入欄に漏れなく書いた
  4. 外部の支援を受けたなら、相手先・金額・契約期間など要領が求める項目を記載した
  5. 事業計画は、自分の言葉で説明できる内容になっている
  6. 計上した経費のうち、補助対象外の経費が大半を占めていない
  7. 賃上げの目標値は、計画の数字で実際に届く水準にしてある
  8. 交付決定の前に発注・契約をしていない

制度の選び方や全体の流れは 補助金申請の流れ、書類作成を誰に頼むかの考え方は 補助金の申請を誰に頼むかにまとめています。

よくある質問

Q. 不採択になった理由は、事務局に問い合わせれば教えてもらえますか?

A. この記事で読んだ4制度の公募要領には、理由開示や結果内容の問い合わせを受け付けないという趣旨が書かれています。デジタル化・AI導入補助金は、事務局から通知する事項以外は不採択理由を開示しないという書き方です。通知に理由が添えられているかは、その回の通知で確かめるしかありません。

Q. 不採択になったら、同じ事業でもう一度申請できますか?

A. 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の要領には、不採択となった事業者は事業計画の見直しを行ったうえで、再度申請できると書かれています。ほかの制度の扱いは、申請する回の要領で確かめてください。持続化補助金には、過去に採択された事業と同じ事業と見受けられる場合は不採択になるという定めもあるので、どの事業を出すかは慎重に決める必要があります。

Q. 事業計画書を、他の人に作ってもらってもよいですか?

A. 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の要領は、作成自体を申請者以外が行うことは認められないと書いています。相談や助言を受けることと、作成を任せることは別です。書類の作成を誰にどこまで頼めるかは、行政書士法の線引きが関わります。費用の構造と頼み方の考え方は、別の記事にまとめています。

確認した公募要領(確認日:2026年9月28日)

この記事の位置づけ

公募要領の記載を整理した一般的な情報提供です。個別の申請書類の作成や、個別の事案への判断を示すものではありません。 各条件の細かな範囲は、申請する回の公募要領で必ずご確認ください。公募要領は回ごとに改訂され、 ここに書いた条件が変わることがあります。要領に書かれた条件を避けても、採択が決まるわけではありません。

申請する制度が決まったら

制度の審査の観点に照らして、現状の分析と計画の不足点をお出しします。申請書はお客様ご自身で作成いただきます。

本記事の内容は2026-09-28時点の情報に基づきます。 公募要領は回ごとに改訂されます。最新の情報は一次情報でご確認ください。