中小企業省力化投資補助金の事業計画の書き方審査の観点、必須要件、補助率・上限額、章立てと落ちやすい点(一般型 第8回公募)
更新日:2026-09-19|補助金 論点整理レポートはAIが作成し、お客様お一人ひとりの内容を行政書士が確認するものではありません。
この記事でわかること
- 1 この制度で審査・確認されること(審査の観点/数値要件/補助率と上限)
- 2 書く前に揃える材料(要件と材料の対応表)
- 3 事業計画書の章立てと、各章で答える問い
- 4 落ちやすいポイント
- 5 よくある質問/自分で書く人の次の一歩
この記事は一般型・第8回公募(公募要領公開 8月18日、締切 2026年10月16日(金)17:00)を対象にしています。 第9回の日程は2026年9月19日時点で未公表です。この記事は第8回公募要領と事務局サイトを2026年9月19日に確認して書いています。日程・要件は公募回ごとに変わることがあるので、申請前に必ず公式サイトで最新版をご確認ください。
1. この制度で審査・確認されること
この補助金は、人手不足の課題に対して省力化・自動化につながる設備等の導入を支援する制度です。 制度ページの記載によれば、審査の観点は大きく5つです。
- 省力化効果を作業工程単位で具体的に示しているか
- その省力化効果により、付加価値の向上がどの程度見込めるか
- 事業状況に見合った投資か(過大投資でないか・投資回収の見通し)
- 作業工程や事業所の構造に合わせ、一品一様で設計・開発された設備か(=革新性)
- 本事業の実施に必要な知識・スキル・経営資源が確保されているか
これに加えて、公募要領(第8回)は数字で満たすべき基本要件を定めています。 審査の観点と基本要件は別物で、どちらか一方を満たしても採択には届きません。
1-1. 基本要件 — 数字で満たす条件(1-5 補助事業要件)
- 労働生産性の年平均成長率が 4.0%以上 増加すること
- 1人当たり給与支給総額の年平均成長率を 3.5%以上 増加させること
- 事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を、毎年、事業実施都道府県における地域別最低賃金より 30円以上高い水準とすること
- 従業員数21名以上の場合、次世代育成支援対策推進法に基づく 行動計画の公表が必要
さらに、給与支給総額を年平均+3.5%以上に加えて更に+2.5%以上(合計で年平均+6.0%以上)増加させ、事業場内最低賃金を+50円以上の水準にすると、「大幅な賃上げ」の上乗せ要件を満たします (1-5(3))。上乗せを満たすと、後述の補助上限額が引き上がります。
1-2. 補助率と補助上限額(1-4(1))
補助率は中小企業が1/2、小規模企業者・小規模事業者が2/3です。 補助上限額は従業員数の区分で変わり、大幅な賃上げの上乗せ要件を満たすと引き上がります。
| 従業員数 | 補助上限額 | 大幅な賃上げの場合 |
|---|---|---|
| 5人以下 | 750万円 | 1,000万円 |
| 6〜20人 | 1,500万円 | 2,000万円 |
| 21〜50人 | 3,000万円 | 4,000万円 |
| 51〜100人 | 5,000万円 | 6,500万円 |
| 101人以上 | 8,000万円 | 1億円 |
補助対象経費は、機械装置・システム構築費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、 専門家経費、クラウドサービス利用費の7区分です(3-1)。詳細な要件・除外事項は公募要領(PDF)で確認してください。
⚠ 事前着手は理由を問わず対象外
公募要領(3-2 補助対象外経費)は「対象経費は、交付決定を受けた日付以降に契約(発注)等を行い、 補助事業実施期間内に支払いを完了したものに限ります」「いかなる理由であっても事前着手は認められません」 としています。採択が見込めそうでも、交付決定前に発注してはいけません。
2. 書く前に揃える材料 — 要件と材料の対応表
書き始めてから材料を探すと、途中で止まります。要件のひとつひとつが「どの材料で証明されるか」を 先に対応づけておくと、足りない材料が書く前に分かります。
| 審査・確認される点 | なぜ見られるか | 用意する材料 |
|---|---|---|
| 労働生産性 年平均成長率 +4.0%以上 | 基本要件(1-5 補助事業要件)。導入設備による効果の見込みが根拠になる | 直近の労働生産性の実績値と、導入設備による工程ごとの省力化効果の試算 |
| 1人当たり給与支給総額 年平均成長率 +3.5%以上 | 基本要件。賃上げの目標値が求められる | 賃金台帳・従業員数の推移と、賃上げ計画 |
| 事業場内最低賃金 = 地域別最低賃金 +30円以上(毎年) | 基本要件。実施場所の都道府県の最低賃金が基準 | 実施場所の地域別最低賃金と、自社の最低時給の一覧 |
| 従業員21名以上の場合:次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画の公表 | 基本要件(従業員数に応じた要件) | 行動計画の公表状況の確認(未公表なら先に対応が必要) |
| 大幅な賃上げの上乗せを狙う場合:給与総額 年平均+6.0%以上・最低賃金+50円以上 | 満たすと補助上限額が引き上がる(1-5(3)) | 上乗せ要件を満たす賃上げ計画(狙わない場合は基本要件の水準で計画してよい) |
| 補助対象経費の区分(機械装置・システム構築費/運搬費/技術導入費/知的財産権等関連経費/外注費/専門家経費/クラウドサービス利用費) | 公募要領が対象経費を7区分で列挙している(3-1) | 経費ごとの見積書と、どの区分に当たるかの整理 |
| 交付決定日以降の契約(発注)・実施期間内の支払い完了 | 事前着手はいかなる理由でも認められない(3-2 補助対象外経費) | 交付決定後に発注する前提の調達スケジュール |
| 金融機関から借り入れを受ける場合の確認 | 資金調達の裏づけとして提出書類に含まれる | 【指定様式】金融機関確認書 |
| 決算・登記の確認書類 | 提出書類のうち有効期限があるもの | 納税証明書(その2。法人は直近3期分、個人は直近1年分)、履歴事項全部証明書(発行から3か月以内) |
事業計画書には、主な資産の名称・分類・取得予定価格等の記載が求められます(4-5)。特に、 単価500万円(税抜き)以上の機械装置については、機械の種類が具体的に分かる名称で書く必要があります。
材料が足りているか、先に確かめたい方へ
当サービスの論点整理レポートは、この制度の審査の観点に照らして、いまの材料で何が足りないかを整理した分析資料です。 申請書はご自身で作成いただきます。作成例を見る/この制度のページ
3. 事業計画書の章立てと、各章で答える問い
ここでは「書き写せる文例」は載せません。文例をなぞった計画書は、審査する側から見るとすぐに分かりますし、 自社の事業の説明にならないからです。代わりに、各章で答えるべき問いを置きます。 問いに自社の言葉で答えていけば、章が埋まります。
第1章事業者の概要と、省力化投資が必要な理由
- いま何を、どんな体制(人員・設備)で行っている事業か
- 人手不足や生産性の課題は、どの作業工程に表れているか
- その課題は、既存のやり方(増員・外注など)ではなく「省力化」で解くべき理由は何か
第2章導入する設備と、その省力化効果
- 導入する設備は具体的に何で、どの作業工程に対応するか
- その工程は、導入前後で作業時間・必要人員がどう変わるか(工程単位で示す)
- その省力化効果によって、付加価値の向上がどの程度見込めるか
- 省力化によって生まれる余力(時間・人員)を、どこに振り向けるか
第3章設備の妥当性 — 過大投資でないか、独自設計か
- 投資額は自社の事業状況(売上規模・財務体力)に見合っているか。投資回収の見通しはどうか
- 導入する設備は、自社の作業工程や事業所の構造に合わせて設計・開発された、一品一様のものか
- 既製品をそのまま導入する場合、それでも自社に合わせた調整・組み込みの要素があるか
- 実施に必要な知識・スキル・経営資源は、社内あるいは外部専門家でどう確保するか
第4章実施体制とスケジュール、資金調達
- 交付決定後に発注する前提で、設備の納品・稼働までのスケジュールは成立するか
- 金融機関から資金を借りる場合、確認書の取得をいつ、どの金融機関に依頼するか
- 単価500万円(税抜き)以上の機械装置がある場合、機械の種類が具体的に分かる名称で書けるか
第5章収益計画と数値目標
- 労働生産性 +4.0%以上の目標値は、工程ごとの省力化効果からどう導かれるか
- 1人当たり給与支給総額 +3.5%以上、事業場内最低賃金 +30円以上(毎年)の要件は満たせるか
- 大幅な賃上げの上乗せ(+6.0%以上・+50円以上)を狙うか。狙う場合、その根拠は何か
第2章の「作業工程単位の省力化効果」は、この制度で最も重い問いです。労働生産性や賃上げの数字は、 ここで示した効果が積み上がって初めて根拠を持ちます。第5章の目標値は、第2章と第3章から導く形にすると、 読み手に「つながっている」と伝わります。
4. 落ちやすいポイント
要件を満たしているのに評価されない計画書には、型があります。公募要領の要件・記載事項と照らして、 特に多いものを挙げます。
省力化効果が「人を減らす」話に閉じている
審査の観点は「省力化効果により、付加価値の向上がどの程度見込めるか」です。浮いた時間・人員を どこに振り向けるかを書かず、単に人員削減の話で終わっている計画書は、この観点に答えていません。
設備の「一品一様性」を示せていない
審査の観点には「作業工程や事業所の構造に合わせ、一品一様で設計・開発された設備か」が含まれます。 既製品をそのまま導入する内容だけでは、この観点に答えたことになりません。自社の工程・事業所に 合わせてどう調整・設計されるかを書いてください。
投資額が事業状況に見合っていない(過大投資)
審査の観点の「事業状況に見合った投資か(過大投資でないか・投資回収の見通し)」に対応する部分です。 投資額と自社の売上規模・財務体力の関係、投資回収の見通しを書いてください。
目標値に根拠がない
労働生産性 +4.0%、給与支給総額 +3.5%という数字を置いただけで、それが導入設備のどの効果から 来るのかの説明がない計画書は多いです。工程ごとの省力化効果(before→after)から、労働生産性が どう増え、その一部が賃上げの原資になる、という順で書くと理由になります。
500万円以上の機械装置の名称があいまい
事業計画書への記載事項(4-5)は、単価500万円(税抜き)以上の機械装置について、機械の種類が 具体的に分かる名称を求めています。「設備一式」のような書き方では足りません。
提出書類の有効期限切れ・段取りの遅れ
履歴事項全部証明書は発行から3か月以内のものが必要です。納税証明書(その2)は法人が直近3期分、 個人が直近1年分です。金融機関から資金を借りる場合の【指定様式】金融機関確認書も、銀行側の 確認に時間がかかるため、締切の直前に依頼すると間に合いません。
⚠ 交付決定前の発注・行動計画の未公表
交付決定日より前に契約(発注)した経費は、いかなる理由であっても補助対象になりません。 また、従業員21名以上で次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画を未公表の場合、要件を 満たせません。どちらも計画の中身以前の問題として、先に確認してください。
5. よくある質問
Q. 「一般型」と「カタログ注文型」はどう違いますか?
A. この記事は一般型・第8回公募の内容だけを扱っています。カタログ注文型は要件や提出書類の組み立てが異なる別区分のため、この記事の内容をそのまま当てはめないでください。カタログ注文型を検討する場合は、その区分の公募要領を別途ご確認ください。
Q. 交付決定より前に設備を発注してしまった場合、対象になりますか?
A. 第8回公募要領(3-2 補助対象外経費)は「対象経費は、交付決定を受けた日付以降に契約(発注)等を行い、補助事業実施期間内に支払いを完了したものに限ります」「いかなる理由であっても事前着手は認められません」としています。交付決定前の発注は理由の如何を問わず対象外です。
Q. 補助上限額はどう決まりますか?
A. 従業員数の区分(5人以下/6〜20人/21〜50人/51〜100人/101人以上)と、大幅な賃上げの上乗せ要件を満たすかどうかの組み合わせで決まります。補助率は中小企業が1/2、小規模企業者・小規模事業者が2/3です(第8回公募要領 1-4)。自社の区分は公募要領の該当箇所で確認してください。
Q. 交付申請の期限はいつですか?
A. 第8回公募要領では、交付申請の期限は原則として採択発表日から2か月後の日とされています。採択後は資金調達や見積りの精査に時間がかかることがあるため、早めに準備を始める必要があります。
Q. 事業計画書は自分で書かないといけませんか?
A. 申請者本人による作成が基本です。2026年施行の改正行政書士法により、報酬を得て申請書類の作成を引き受けられるのは行政書士に限られることが明確化されました。自分で書く場合は、この記事の章立てに沿って材料を揃え、足りない点を整理してから書き始めると進めやすくなります。
6. 自分で書く人の次の一歩
順番は、審査の観点と基本要件を確認する → 材料を対応表で揃える → 章ごとの問いに答える → 記載事項(資産の名称・分類・取得予定価格等)が揃っているか確かめる、です。 第9回公募が始まる場合も、この順番と章立ての骨格は大きくは変わらない見込みです (数値要件・上限額は公募回ごとに公募要領で確認してください)。
申請書はご自身で作成いただきます。いまの材料で何が足りないかは、論点整理レポートで確認できます。
この制度の審査の観点・数値要件・公式リンクは制度ページにまとめてあります。論点整理レポートは、自社の材料を入力すると、審査の観点に照らして足りない点を整理した分析資料です。