補助金の事業計画書、行政書士に頼むと何をしてくれるのか
更新日:2026-10-06|法令・公募要領の確認日:2026年10月6日|補助金 論点整理レポートはAIが作成し、お客様お一人ひとりの内容を行政書士が確認するものではありません。
要点(30秒まとめ)
- 行政書士法が定める行政書士の仕事は、書類の作成(第1条の3)と、提出手続の代理・作成についての相談など(第1条の4)です。 「チェック」「確認」という区分は条文にありません。
- 補助金の事業計画書で考えられる頼み方は、①相談 ②自分で書いたものの内容確認 ③作成の3つです。 違いは誰が作成者になるかです。
- 新事業進出・ものづくり補助金と省力化投資補助金の要領は、事業計画は申請者自身で作成するよう求めています。 この2制度では、③は選べず、①②の形で関わってもらうことになります。
- 支援を受けたら、支援者の名前と報酬を申請時に書くよう求める制度があります。書かないと虚偽の扱いです。
- 報酬は事務所ごとに決まり、事務所に掲示する義務があります(第10条の2)。この記事では金額を書きません。
この記事で扱うこと
補助金の申請を外部に頼むかどうか、頼むなら誰にするかは 補助金の申請は誰に頼むのかで、法改正で何が変わったかは 2026年施行の改正行政書士法の解説で整理しています。 この記事はその先の、行政書士に頼むと決めたとき、何をどこまでしてもらえるのかを、 条文と公募要領の原文から確かめます。
条文が定めている行政書士の仕事
行政書士の本来の業務は、官公署に提出する書類などの作成です。
行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(…)その他権利義務又は事実証明に関する書類(…)を作成することを業とする。
これに加えて、第1条の4は、行政書士ができる業務として、作成できる書類を官公署に提出する手続の代理や、 作成できる書類の作成について相談に応ずることを挙げています。
前条の規定により行政書士が作成することができる書類の作成について相談に応ずること。
一方、行政書士でない者に対する業務の制限(第19条)が対象にしているのは、第1条の3の業務、つまり報酬を得て業として書類を作成することです。
行政書士又は行政書士法人でない者は、他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として第一条の三に規定する業務を行うことができない。
条文には「チェック」「確認」という業務の区分は出てきません。 「行政書士が確認」とうたうサービスがあっても、それが条文のどの業務に当たるのかは、依頼の中身で決まります。 だから頼む前に、誰が作成者になるのかを確かめることが出発点になります。
事業計画書での3つの頼み方
| 頼み方 | してもらうこと | 作成者 |
|---|---|---|
| ① 相談 | 要件の読み方、どの書類が要るか、書き方の考え方などを質問し、答えてもらう。 | 申請者 |
| ② 内容の確認 | 自分で書いた計画書を読んでもらい、要領の要件や記載の抜けについて指摘を受ける。直すのは自分。 | 申請者 |
| ③ 作成 | 書類そのものを書いてもらう。行政書士は作成した書類に記名し、職印を押すことになっています(行政書士法施行規則第9条第2項)。 | 行政書士 |
①②は、作成者が申請者のままです。③だけが作成者を行政書士に移します。 ただし次の節のとおり、事業計画書については③を認めていない制度があります。
「申請者自身で作成」を求める制度
補助金の事業計画書は、法令上は行政書士が作成できる書類であっても、制度の側が申請者自身での作成を求めていることがあります。 この場合、頼む相手が行政書士でも、作成を任せることはできません。
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金
検討やブラッシュアップのために認定経営革新等支援機関(以下「認定支援機関」という。)を含む外部支援者等(以下「事業計画作成支援者」という。)の助言を受けることは差し支えございませんが、必ず申請者自身で作成してください。作成自体を申請者以外が行うことは認められず、発覚した場合は不採択・採択取消・交付決定取消となります。
中小企業省力化投資補助金(一般型)
事業計画は申請者自身で作成してください。
小規模事業者持続化補助金(一般型・通常枠)
事業者自らが検討しているような記載が見られない場合や、自らが検討していなかったことが発覚した場合、評価に関わらず不採択・交付決定取消となります。
この3制度で行政書士に関わってもらうなら、①相談か②内容の確認の形になります。 要領が認めているのは助言を受けることで、書くのは自分です。 ここで読んだ以外の制度は、申請する回の要領で同じ点を確かめてください。
自分で書く前提で、制度ごとの審査の観点に照らして計画の不足点を洗い出すための分析資料を出しているのが、 「事業書類の窓口」の論点整理レポートです。行政書士による内容の確認は含まず、申請書・事業計画書はお客様ご自身で作成いただきます。
支援を受けたら、申請時に書く
相談や内容の確認であっても、外部から支援を受けたことは申請時に申告を求められることがあります。 書かなかった場合の扱いは重く、計画の出来と関係なく不採択になりえます。
事業計画の作成を支援した者がいる場合は、申請画面の「事業計画書作成支援者名」「作成支援報酬額」の欄に当該事業者名及び当該事業者に支払う報酬の内容(成功報酬の場合は、補助金交付候補者の採択時に支払う金額)と契約期間等を必ず記載してください。
持続化補助金の要領も、冒頭の注意事項で、商工会・商工会議所を除く第三者の支援を受けたのに、 確認事項の「第三者からのアドバイスの有無」の項目に相手方と支援に係る金額(着手金・成功報酬など名目を問わない)を書いていない場合は、 虚偽の報告として不採択・交付決定取消になると定めています。 支援料金を払っていない場合も対象です。 行政書士に頼むときは、申請画面に書く名前と金額を、契約の段階で相手と確かめておくと迷いません。 申請前に外れる条件の全体は 補助金で不採択になる典型パターンにまとめています。
費用はどう決まるのか
行政書士の報酬は、法令で一律に決まっているものではありません。 各事務所が報酬の額を定め、事務所に掲示することが義務づけられています。
行政書士は、その事務所の見やすい場所に、その業務に関し受ける報酬の額を掲示しなければならない。
同じ条の第2項にもとづき、日本行政書士会連合会は報酬額の統計を公表しています。 ただし連合会自身が、同じ業務でも中身によって差が大きいと書いています。
同一業務でも具体的な取扱い内容等によって、行政書士の受ける報酬額には大きな差が生じます。
そのため、この記事では金額を書きません。費用は①相談 ②内容の確認 ③作成のどれを頼むかと、 どの書類のどこまでを対象にするかで変わります。着手金と成功報酬の別など、見積で比べる4点は 補助金の申請は誰に頼むのかに書いています。
公募要領の側も、報酬の取り方について注意を書いています。
提供するサービスの内容とかい離した高額な成功報酬等を請求する、経費の水増しを提案するなどの悪質な業者等にご注意ください。
頼む前に確かめる5点
- 頼むのは「相談」「書いたものの内容確認」「作成」のどれか。契約書や申込書にその言葉で書かれているか
- 申請する制度の公募要領が、事業計画を申請者自身で作成するよう求めていないか
- 支援を受けたとき、申請画面に支援者の名前と報酬を書く欄があるか。書く金額は着手金・成功報酬のどれを含むか
- 内容確認を頼む場合、どの書類のどの部分まで読んでもらうのか。指摘は書面で受け取れるか
- 報酬はいくらか。事務所に掲示されている報酬額と、今回の依頼の見積がどう対応しているか
どれを確かめても、それで採択が決まるわけではありません。 交付決定の前に発注しないといった手続きの順番は 交付決定前に発注してはいけない理由で確認してください。
よくある質問
Q. 補助金について行政書士に質問して、回答をもらうことはできますか?
A. できます。行政書士法第1条の4は、行政書士が作成できる書類の作成について相談に応ずることを、行政書士の業務の一つとして定めています。どこまで答えてもらえるか、相談に費用がかかるかは事務所ごとに違うので、依頼の前に確かめてください。なお、業務の制限を定める第19条が対象にしているのは第1条の3の業務(書類の作成)です。
Q. 行政書士に事業計画書を読んでもらえば、採択されやすくなりますか?
A. 採択は、制度ごとの審査で決まります。誰かに内容を確認してもらったことで採択が決まるわけではありません。確認を受けた意味は、要領の要件や審査の観点に対して抜けている点を、提出前に見つけられることにあります。
Q. 行政書士に相談や内容の確認を頼んだことは、申請のときに書く必要がありますか?
A. 制度によって決まっています。省力化投資補助金(一般型)は事業計画の作成を支援した者がいる場合、申請画面の「事業計画書作成支援者名」「作成支援報酬額」の欄への記載を求めています。持続化補助金は、商工会・商工会議所を除く第三者からのアドバイスについて、相手方と金額の記載を求めています。いずれも、書かなかった場合は虚偽として不採択などの扱いになると書かれています。申請する回の公募要領で確かめてください。
確認した一次情報(確認日:2026年10月6日)
- 行政書士法(第1条の3・第1条の4・第10条の2・第19条)— e-Gov法令検索
https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000004 - 行政書士法施行規則(第9条)— e-Gov法令検索
https://laws.e-gov.go.jp/law/326M50000002005 - 日本行政書士会連合会「報酬額の統計」
https://www.gyosei.or.jp/about/disclosure/reward - 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回 公募要領(1.3版・令和8年9月)
https://shinjigyou-monodukuri.smrj.go.jp/assets/documents/shinmono_application_guidelines_01.pdf - 中小企業省力化投資補助金(一般型)第8回 公募要領(2026年9月18日改訂)
https://shoryokuka.smrj.go.jp/assets/pdf/application_guidelines_ippan_08.pdf - 小規模事業者持続化補助金〈一般型・通常枠〉第20回 公募要領(商工会議所地区・第8版 2026年7月21日)
https://r6.jizokukahojokin.info/doc/r6_koubover8_ip20.pdf
この記事の位置づけ