行政書士にしかできないこと|独占業務と、他の士業との線引き
更新日:2026-10-09|法令・公表文の確認日:2026年10月9日|補助金 論点整理レポートはAIが作成し、お客様お一人ひとりの内容を行政書士が確認するものではありません。
要点(30秒まとめ)
- 行政書士にしかできないのは、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類や権利義務・事実証明に関する書類を作成することです(行政書士法第1条の3・第19条)。
- 2026年1月1日施行の改正で、第19条に「いかなる名目によるかを問わず」が入りました。会費・手数料・コンサルタント料・商品代金などの名目でも同じ扱いです。
- 違反した者は1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金(第21条の2)。両罰規定で、その者が所属する法人にも罰金刑が科されます(第23条の3)。
- 一方で、行政書士にもできないことがあります。登記の代理は司法書士、争いのある法律事務は弁護士、税務は税理士の領域です(第1条の3第2項)。
この記事で扱うこと
「行政書士に頼めること」シリーズの入口の記事です。ここでは行政書士にしかできないこと(独占業務)と、 反対に行政書士でもできないことを、条文と日本行政書士会連合会(日行連)の公表文から整理します。 分野ごとの具体は 許認可申請を行政書士に頼むと何をしてくれるのか と 会社設立を行政書士に頼むときの分担、補助金の事業計画書については 補助金の事業計画書、行政書士に頼むと何をしてくれるのかにまとめています。
独占業務は「書類の作成」
行政書士法は、行政書士の業務をまず書類の作成として定めています。
行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(…)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。
そして、この業務を行政書士でない者が行うことを制限しているのが第19条です。
行政書士又は行政書士法人でない者は、他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として第一条の三に規定する業務を行うことができない。
制限の対象は、他人の依頼を受け、報酬を得て、業として書類を作成することです。 自分の事業の書類を自分で作ることは、この制限の対象ではありません。 同じ第19条第1項には、他の法律に別段の定めがある場合などの例外も書かれています。
2026年1月の改正で明確になったこと
行政書士法の一部を改正する法律(令和7年法律第65号。以下「改正法」という。)が令和7年6月13日に公布され、令和8年1月1日から施行されます。
改正で第19条に加わった文言について、日行連は次のように説明しています。
「会費」、「手数料」、「コンサルタント料」、「商品代金」等のどのような名目であっても、対価を受領し、業として官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類、実地調査に基づく図面類を作成することは、法第19条第1項に違反することが明確化されたもので、これらは現行法においても変わりはなく、改正法の施行日前であってもこうした行為があれば同条に違反することになります。
つまり、書類の作成を「コンサル料」や「会費」の中に含めて引き受ける形でも、扱いは変わりません。 改正の経緯や、補助金の申請支援への影響は 2026年施行の改正行政書士法の解説で詳しく書いています。
違反したときの罰則
第十九条第一項の規定に違反したときは、その違反行為をした者は、一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。
改正では、両罰規定(第23条の3)にもこの違反が加わりました。
違反行為者が罰せられることはもとより、その者が所属する法人に対しても百万円以下の罰金刑が科せられることとされました。
頼む側として確かめること
頼む側の事業者としては、書類の作成を外部に任せるときに、相手が行政書士又は行政書士法人かどうかを、 契約の前に確かめておくのが確実です。
行政書士でもできないこと(他の士業との線引き)
行政書士の業務には、法律で外されているものがあります。
行政書士は、前項の書類の作成であつても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない。
| 分野 | 担う士業 | 根拠(原文の要旨) |
|---|---|---|
| 登記(会社設立の登記など) | 司法書士 | 司法書士法第3条第1項第1号「登記又は供託に関する手続について代理すること。」 |
| 争いになっている案件の法律事務 | 弁護士 | 行政書士法第1条の4第1項第1号は、提出手続の代理から「弁護士法(…)第七十二条に規定する法律事件に関する法律事務に該当するもの」を除いている |
| 税務(相続税・贈与税など) | 税理士 | 日行連も、事業承継では「贈与税や相続税の関係から、税理士を思い浮かべる人が多いかもしれません。」と書いたうえで、他士業と連携すると説明 |
親族間での後継者の選び方に始まって、M&A仲介、資金調達、許認可引継ぎ等、行政書士は他士業者等と連携して、地域の中小企業の事業承継をお手伝いしています。
一つの手続きでも、書類の作成は行政書士、登記は司法書士、税務は税理士と、担当が分かれることがあります。 依頼の前に、どこまでを誰が担当するのかを確かめておくと、手続きの途中で止まりません。
よくある質問
Q. 自分の会社の申請書類を自分で作るのに、資格は要りますか?
A. 要りません。行政書士法第19条が制限しているのは、他人の依頼を受け、報酬を得て、業として書類を作成することです。自分の事業の書類を自分で作ることは、この制限の対象ではありません。
Q. 行政書士でないコンサルティング会社に、報酬を払って申請書類を作ってもらってもよいですか?
A. 官公署に提出する書類の作成を、報酬を得て業として引き受けられるのは、行政書士又は行政書士法人です(他の法律に別段の定めがある場合などを除く)。2026年1月1日施行の改正で、会費・手数料・コンサルタント料・商品代金などの名目でも同じであることが条文上明確になりました。なお、補助金の事業計画書は、制度の側が申請者自身での作成を求めていることがあります。
Q. 行政書士に頼めば、登記や税金の申告までまとめて任せられますか?
A. 行政書士法は、他の法律で制限されている業務は行政書士も行えないと定めています。たとえば登記の手続の代理は司法書士の業務として司法書士法に定められています。争いになっている案件の法律事務や、税務の相談・申告は、それぞれ弁護士・税理士の領域です。日本行政書士会連合会も、事業承継などでは他の士業と連携して支援すると書いています。
確認した一次情報(確認日:2026年10月9日)
- 行政書士法(第1条の3・第1条の4・第19条・第21条の2・第23条の3)— e-Gov法令検索
https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000004 - 日本行政書士会連合会【会長談話】行政書士法第19条第1項及び第23条の3の改正の趣旨等について(2025年11月1日)
https://www.gyosei.or.jp/news/20251101 - 司法書士法(第3条)— e-Gov法令検索
https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC1000000197 - 日本行政書士会連合会「法人・企業支援」
https://www.gyosei.or.jp/service/corporate
この記事の位置づけ
行政書士への相談・依頼の窓口(2026年12月予定)
2026年12月(予定)から、参加予定の行政書士事務所がお客様から直接依頼を受ける形を準備しています。 現時点では、行政書士への依頼の受付は行っていません。範囲・報酬・時期は確定次第お知らせします。