大規模成長投資補助金で不採択になる理由、公募要領に書かれた3つの関門
更新日:2026-10-20|公募要領の確認日:2026年10月16日|補助金 論点整理レポートはAIが作成し、お客様お一人ひとりの内容を行政書士が確認するものではありません。
要点(30秒まとめ)
- 公募要領には、そもそも不採択・取消になる事業が19項目あります(大半の外注、主として解雇による賃上げ、過去の採択事業との重複、二重受給など)。
- 代理申請・書類の不備・外部コンサルのプレゼン同席など、手続きの段階で審査されない・不採択になるものもあります。
- 審査では、足下の賃上げが物価上昇率を下回る、効果の過大な見積、経営者本人の理解不足が「大幅に不利」と明記されています。
- どれも避けたからといって採択が決まるわけではありません。採否は6つの審査基準で決まります。
この記事で扱うこと
中堅・中小企業の大規模成長投資補助金は、投資額20億円以上(100億宣言企業向けは15億円以上)を対象にした、補助上限50億円の制度です。 この記事は、6次公募の公募要領が「不採択」「交付決定の取消」「審査上大幅に不利」と明記している点を原文で確かめて、 3つの関門(対象外になる事業・手続き・審査)に分けて整理します。個別の申請の審査結果の理由や、採択の見込みは扱いません。
制度を問わない不採択の傾向は 補助金が不採択になる理由のパターンに、審査項目に沿った計画書の章立ては 大規模成長投資補助金の事業計画の書き方にまとめています。引用はすべて6次公募の公募要領(2026年8月28日更新版)です。次回の公募では内容が変わることがあるので、 申請する回の公募要領で必ず確かめてください。
関門1:そもそも不採択・取消になる事業
補助対象者の章に、次の一文があります。
以下に該当する事業者又は事業を行う事業者は、補助金交付候補者として不採択又は交付決定の取消となります。
挙がっているのは19項目です。指名停止中の事業者や公序良俗に反する事業などのほか、計画の組み立て方で当てはまりうるものを抜き出すと、次のとおりです。
| 番号 | 不採択・取消になる事業(PDF 8〜9ページの要約) |
|---|---|
| 4 | 補助事業の実施の大半を他社に外注・委託し、企画だけを行う事業 |
| 5 | 実質的に労働を伴わない事業や、専ら資産運用的な性格の強い事業(例:無人駐車場の運営で機械装置を買うだけ) |
| 6 | 購入した設備を自社の事業に使わず、第三者に長期間貸与するような事業 |
| 7 | 補助事業が1次産業(農業・林業・漁業)である事業(同一構内の工場で専従の従業員が加工する場合などは2次・3次産業になりうる) |
| 8 | 主として従業員の解雇を通じて賃上げ要件を達成させるような事業 |
| 9 | 補助事業期間に限って従業員数を減らし、終了後に増やすなど、対象になることを目的に従業員数等を変えている事業 |
| 14 | 重複案件(同じ事業者が今回の公募で複数申請/他の事業者と同一・類似の内容) |
| 15 | 1次〜4次公募で採択済みの補助事業との重複(同じ産業小分類・従業員の重複・同じ都道府県のいずれか) |
| 16 | 5次公募の採択事業者が行う事業 |
| 17 | 国の他の制度(補助金・委託費など)との二重受給になる事業 |
| 18 | 申請時に虚偽の内容を含む事業 |
グループ会社の申請と、補助金の実績の書き漏れ
議決権の50%超を持つ親子会社などは同一法人とみなされ、1社しか申請できません。代表者と住所が同じ法人なども同じ扱いです。 複数が申請した場合の扱いは厳しく書かれています。
これらの場合において、複数の事業者が申請した場合には、申請したすべての事業者において申請要件を満たさないものとして扱いますのでご注意ください。
二重受給の確認のため、他の補助金や委託費の実績を様式2に書くことも求められています。
これまでに交付決定を受けた又は現在申請している補助金及び委託費等の実績があるにもかかわらず記載されていない場合、不採択となる可能性がありますので、十分ご注意ください。
関門2:手続きで審査されない・不採択になるもの
電子申請は自社で行う
代理申請は不正アクセスとなるため、一切認められず、当該申請は不採択となる上、以後の公募において申請を受け付けないことがあります。
GビズIDプライムアカウントの取得手続きの遅れによる申請期限の延長等は、一切認められませんので、申請をお考えの方は、お早めに取得いただきますようお願いいたします。
書類の不備と、数値の食い違い
申請前に、書類に不備や不足がないことを必ずご確認ください。不備がある場合は、審査できない場合があります。
様式1(成長投資計画書)と様式2(別紙)の数値が食い違う場合は、様式2を正として審査し、プレゼンテーション審査で説明を求めることがある、とも書かれています。 決算書・ローカルベンチマークを含めて、数値は1つの元データからそろえて作るのが安全です。
見積の取り先と、プレゼンテーション審査の同席者
建設業許可が必要な規模の建物で、許可のない業者から見積を取っていたことが発覚すると、虚偽の内容を含む申請として不採択又は交付決定の取消になります(PDF 17ページ)。 経費の組み立ては 大規模成長投資補助金の対象経費で整理しています。2次審査の同席者にも決まりがあります。
なお、外部コンサルティング会社等の関係者が経営顧問などの形で同席することも認められません。発覚した場合には不採択又は交付決定の取消となる場合がありますのでご留意ください。
また、行政書士(又は行政書士法人)でない者が有償で申請の作成を行ったことが交付決定後に分かった場合も、交付決定の取消となる可能性があると書かれています(PDF 3ページ)。 外部の支援を頼むときの線引きは 大規模成長投資補助金の申請支援|費用の相場と選び方にまとめています。
関門3:審査で「大幅に不利」と書かれている点
足下の賃上げが物価上昇率を下回る
審査基準の「経営力」には、工場の建設や設備の導入の完了を待たずに、補助事業期間中から行う「足下の賃上げ」を評価する注記があります。
最低でも物価上昇率を上回る程度の賃上げが達成されない場合は審査上大幅に不利になりますのでご留意ください。
足下の賃上げは、採択後から交付決定までの間に従業員への表明が必須で、補助事業期間中の実績もモニタリングの対象です。 採択のために高く置くのではなく、続けられる水準で計画に入れておく必要があります。
効果を大きく見積もりすぎる
補助事業の効果を過大に見積もった実現可能性の乏しい計画は、定量的な効果の大きさにかかわらず、審査上大幅に不利になる可能性がございますのでご注意ください。
経営者本人が計画を説明できない
プレゼンテーション審査の場において、申請内容や成長投資計画に対する事業者本人の理解が著しく不足したまま申請が行われていると判断された場合には、審査上大幅に不利になります。
経営者の出席・説明が必須です。経営者の出席・説明がなされない場合、審査上不利になる可能性があります。
ここでいう経営者は、代表取締役社長・会長など代表権を持つ人です。2次審査は地域ブロック単位の審査会で、 経営者自身のプレゼンテーションと外部有識者との質疑応答で行われます(PDF 20〜21ページ)。審査の日程は 大規模成長投資補助金のスケジュールで確認できます。
採否を決めるのは6つの審査基準
関門1・2を越えたうえで、採否は審査基準で決まります。公募要領は次の項目を定量的・定性的に審査するとしています(PDF 21〜23ページ)。 ほかに加点措置があります。
| 審査基準 | 見られること(要約) |
|---|---|
| 経営力 | 5〜10年後のありたい姿と賃上げの方向性、3〜5年の事業戦略の中での補助事業の位置づけ、成果目標の管理体制、資金計画 |
| 先進性・成長性 | 市場とニーズの検証、関連市場の伸びを上回る成長、競合を分析したうえでの差別化、労働生産性の抜本的な向上 |
| 地域への波及効果 | 給与支給総額と雇用の増加(賃上げ要件を大幅に上回るか)、地域内の取引先への波及、サプライチェーンのレジリエンス |
| 大規模投資・費用対効果 | 収益規模に応じたリスクをとった投資か、補助金額に対する付加価値の増加、従前より一段上を目指す行動変容 |
| 実現可能性 | 実施体制、財務状況(ローカルベンチマークの総合得点)、遂行方法とスケジュール、金融機関・ファンド等のコミットメント |
| 補助金の必要性 | 自己資金や金融機関からの調達だけでは実現が困難で、本当にこの補助金が必要な投資か |
他の制度にはあまり無い、この制度らしい項目が「補助金の必要性」です。
事業者の現預金保有残高などの財務状況に照らして、自己資金や金融機関等からの資金調達のみでは、想定する事業の実現が困難であり、真に本補助金による支援が必要な投資であるか。
各項目で何をどう書くかは、制度の 制度ページと書き方の記事で整理しています。
申請前に確かめる9点
- 補助事業の中心を自社で行う計画か(大半の外注・設備の第三者への長期貸与になっていないか)
- 補助事業期間中から行う「足下の賃上げ」が、最低でも物価上昇率を上回る程度になっているか
- 賃上げの手段が、主として解雇に頼るものになっていないか
- グループ会社(議決権50%超の親子会社など)が別に申請していないか。1次〜4次の採択事業と重複していないか
- これまでに交付決定を受けた・いま申請している補助金と委託費を、様式2にすべて書いたか
- 様式1・様式2・ローカルベンチマーク・決算書の数値がそろっているか
- 効果を大きく見せるために、実現の裏づけが薄い数字を置いていないか
- 経営者ご本人が、計画の中身を自分の言葉で説明し、質問に答えられるか
- 電子申請は自社で行い、GビズIDプライムアカウントを早めに取得したか
すべて満たしても、採択が約束されるわけではありません。審査の観点に照らして計画の不足点を書く前に洗い出す分析資料として、論点整理レポートもご用意しています。申請書・計画書はお客様ご自身で作成いただく前提のサービスです。 採択後の手続きの順番は 交付決定前に発注してはいけない理由で確認してください。
よくある質問
Q. 5次公募で不採択でしたが、6次公募に申請できましたか?
A. 6次公募要領が対象外としているのは「5次公募の採択事業者が行う事業」で、不採択だった事業者を除くという記載はありません(PDF 9ページ)。ただし1次〜4次公募の採択事業との重複や、今回の公募での重複申請は対象外です。次の公募の条件は、その回の公募要領で確かめてください。
Q. 金融機関の確認書がないと不採択になりますか?
A. 「金融機関・ファンド等による確認書」と「出資・融資の表明書」は加点措置で、提出しないこと自体を不採択の条件とする記載は公募要領にありません。一方、審査基準の実現可能性には「金融機関・ファンド等のコミットメントが得られているか」という項目があります(PDF 23〜24ページ)。
Q. 採択されたあとに賃上げ目標を達成できなかったらどうなりますか?
A. 不採択とは別の話ですが、申請時に掲げた1人当たり給与支給総額の年平均上昇率の目標を達成できなかった場合は、未達成率に応じて補助金の返還を求められます。天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合は返還を求めないとされています(PDF 11ページ)。
確認した一次情報(確認日:2026年10月16日)
- 中堅・中小・スタートアップ企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金(6次公募)公募要領(2026年8月28日更新版)
https://chukentou-seichotoushi-hojo.jp/assets/documents/common/youryou_6ji.pdf - 大規模成長投資補助金 事務局サイト(事業概要・お知らせ)
https://chukentou-seichotoushi-hojo.jp/
この記事の位置づけ
自分で書く前に、計画の不足点を確かめる
制度の審査の観点に照らして、現状の分析と計画の不足点をお出しします。申請書はお客様ご自身で作成いただきます。