大規模成長投資補助金の対象経費、5つの区分と対象外になるもの
更新日:2026-10-16|公募要領の確認日:2026年10月16日|補助金 論点整理レポートはAIが作成し、お客様お一人ひとりの内容を行政書士が確認するものではありません。
要点(30秒まとめ)
- 補助対象経費は建物費・機械装置費・ソフトウェア費・外注費・専門家経費の5区分です。
- 建物・機械装置・ソフトウェアは単価100万円(税抜)以上のものが対象です。
- 投資額の下限(一般20億円以上・100億宣言企業向け15億円以上)は、外注費・専門家経費を除いた税抜の額で見ます。外注費と専門家経費の合計は、残り3区分の合計未満にします。
- 土地代、建物の単なる購入や賃貸、既存建物の撤去・解体、更新投資、自社の人件費は対象外です。
- 交付決定より前に契約(発注)した経費は、いかなる事情があっても対象外です。採択されても、計上した経費がすべて認められるとは限りません。
この記事で扱うこと
中堅・中小企業の大規模成長投資補助金は、工場や倉庫の新設・増築、設備やシステムへの投資を対象にした、補助上限50億円(補助率1/3以下)の制度です。 この記事は、6次公募の公募要領のうち補助対象経費の章(PDF 13〜17ページ)と税制との併用(PDF 39ページ)を原文で確かめ、 どの経費が対象になり、どこで対象外になるのかを整理します。制度の全体像は 大規模成長投資補助金の制度ページに、審査の観点と計画書の章立ては 大規模成長投資補助金の事業計画の書き方にまとめています。
引用はすべて6次公募の公募要領(2026年8月28日更新版)です。次回の公募では内容が変わることがあるので、 申請する回の公募要領で必ず確かめてください。
補助対象経費は5つの区分
公募要領は、補助対象経費の前提を次のように定めています。
対象経費は、交付決定を受けた日付以降に契約(発注)を行い、補助事業期間内に納品、検収、支払等の事業上必要な手続きがすべて完了したものとなります。
そのうえで、対象になる経費を5つの区分に分けています。
| 区分 | 対象になるもの | 主な注意(要領の注記から) |
|---|---|---|
| (1)建物費PDF 13ページ | 専ら補助事業のために使う事務所・生産施設・加工施設・販売施設・検査施設・倉庫などの建設、増築、改修、中古建物の取得 | 単価100万円(税抜)以上。建物の単なる購入や賃貸・土地代・既存建物の撤去や解体・更新投資は対象外。原則として入札・相見積もり |
| (2)機械装置費PDF 13〜14ページ | 専ら補助事業のために使う機械装置、工具・器具の購入・製作・借用と、それと一体で行う改良・修繕、据付け、運搬 | 単価100万円(税抜)以上。構築物・船舶・航空機・車両及び運搬具は原則対象外。中古は3者以上の古物商からの相見積もりが条件 |
| (3)ソフトウェア費PDF 14ページ | 専ら補助事業のために使う専用ソフトウェア・情報システム等の購入・構築、借用、クラウドサービス利用と、それと一体で行う改良・修繕 | 単価100万円(税抜)以上。自社の他事業と共有する場合は対象外。パソコン・タブレット端末・スマートフォンなどの本体は対象外 |
| (4)外注費PDF 15ページ | 補助事業に必要な加工・設計・検査等の一部を外注(請負・委託)する経費 | (4)と(5)の合計は(1)〜(3)の合計未満。申請時の計画作成の費用、外注先が設備を買う費用、事業者が行うべき手続きを外に任せる費用は対象外 |
| (5)専門家経費PDF 15ページ | 補助事業の遂行のために依頼した専門家(学識経験者・兼業副業・フリーランス等)の技術指導・助言の謝金や旅費 | (4)と(5)の合計は(1)〜(3)の合計未満。申請時の計画作成の費用は対象外。謝金に1日あたりの上限あり |
投資額の下限に数えるのは、建物費・機械装置費・ソフトウェア費だけ
補助事業の要件である投資額の下限は、一般企業向けが20億円以上、100億宣言企業向けが15億円以上です。 どちらも「外注費・専門家経費を除く補助対象経費分(税抜)」で判定します(PDF 10ページ)。 さらに外注費と専門家経費には、次の枠があります。
(4)及び(5)の合計額は、(1)~(3)の合計額未満
つまり投資の中心は、建物・機械装置・ソフトウェアに置く必要があります。見積を集めてから下限に届いていないと気づくと、 投資の中身から組み直すことになるので、最初に3区分の合計を税抜で出しておくと安全です。
建物費:土地代・購入・撤去は対象外
建物費の対象は、補助事業のために使う建物の建設・増築・改修・中古建物の取得です。建物と切り離せない建物附属設備と、 土地造成を含む付帯工事も含まれます。一方、注記で次のものが外されています。
建物の単なる購入や賃貸、土地代は補助対象外となります。
既存の建物の撤去・解体費用は補助対象外となります。
既存の老朽化設備を入れ替えるなど生産能力等が向上しない投資(更新投資)は認められません。
門・塀・フェンス・広告塔などの構築物も原則として対象外ですが、生産設備の導入に必要なものなど、計画の実施に不可欠と認められれば対象になる可能性があります。 また、建物を補助対象に含めるときは見積の取り先にも条件があります。
建設業許可が必要な規模の建物においては、建設業許可を有さない業者からの見積もりは認められません。
要領は、これが発覚した場合は虚偽の内容を含む申請として不採択又は交付決定の取消になるとしています。
機械装置費とソフトウェア費
機械装置:車両は原則対象外、中古は相見積もりが条件
対象は「機械及び装置」「器具及び備品」「工具」です。「構築物」「船舶」「航空機」「車両及び運搬具」は原則として対象外ですが、 生産工程の一部として機能するものなど、計画の実施に不可欠と認められれば対象になる可能性があります。 リース・レンタル(借用)は、交付決定後に契約し、補助事業期間中にかかる分だけが対象です。中古設備については、次の条件があります。
3者以上の古物商の許可を得ている中古品流通事業者から、型式や年式が記載された相見積もりを取得している場合には、中古設備も対象になります。
ソフトウェア:他事業と共有するものと端末本体は対象外
自社の他事業と共有する場合は補助対象外となります。
パソコン・タブレット端末・スマートフォンなどの本体費用は補助対象外となります。
クラウドサービスの利用料は対象になり、ルータ使用料・プロバイダ契約料・通信料などの付帯経費も含められますが、 補助事業に必要な最低限のものに限られます。契約期間が補助事業期間を超える場合は、期間内の分だけを按分して計上します。
外注費と専門家経費:計画づくりの費用は入らない
外注費と専門家経費の両方に、同じ注記が付いています。
応募申請時の成長投資計画の作成に要する経費は補助対象外となります。
申請の準備を外部に頼む費用は、補助金の外で自己資金から払うことになります。頼めることと頼めないこと、費用の見方は 大規模成長投資補助金の申請支援|費用の相場と選び方で整理しています。 外注費ではほかに、外注先が設備やシステムを買う費用、外部に販売・レンタルする量産品の加工を外注する費用、事業者が行うべき手続きを外に任せる費用が対象外です。 機械装置の製作を外注する場合は、外注費ではなく機械装置費に計上します。
専門家経費の謝金には、1日あたりの単価の上限があります(消費税抜)。
| 専門家 | 謝金単価(PDF 15ページ) |
|---|---|
| 大学教授、弁護士、弁理士、公認会計士、医師 | 1日5万円以下 |
| 准教授、技術士、中小企業診断士、ITコーディネータ | 1日4万円以下 |
| 上記以外 | 1日2万円以下 |
対象にならない経費
公募要領は対象外の経費を列挙しています(PDF 16ページ)。計画の段階で間違えやすいものを抜き出すと、次のとおりです。
- 事務所等の家賃・保証金・敷金・仲介手数料・光熱水費
- 事務用のパソコン・プリンタ・文書作成ソフトウェア・タブレット端末・スマートフォン・デジタル複合機・キュービクル・乗用エレベータ・家具・3Dプリンタなど、汎用性があり目的外に使えるもの(補助事業のみに使うことが明らかなものを除く)
- 公道を走る自動車等の車両の購入費・修理費・車検費用
- 事業にかかる自社の人件費(ソフトウェア開発等)
- 同じ代表者・役員がいる事業者、親会社・子会社など資本関係がある事業者への支払、同じ会社の部署間の支払(社内発注・社内製造を含む)
- FIT・FIP などの公的制度で売電するための発電設備
- 税理士・公認会計士への税務申告・決算書作成の費用、訴訟等の弁護士費用
- 事務局などに提出する報告書等の書類作成・申請に係る費用
- 地域未来投資促進税制・中小企業経営強化税制・中小企業投資促進税制・大胆な投資促進税制の適用を受ける設備
事業にかかる自社の人件費(ソフトウェア開発等)
税制との併用はできない
本補助金は、下記の税制との併用はできません。
挙がっているのは、賃上げ促進税制・地域未来投資促進税制・中小企業経営強化税制・中小企業投資促進税制・大胆な投資促進税制の5つです。 このうち後ろの4つには、税制の適用を受ける設備以外のものは補助対象経費として申請できる、という注記が付いています。 賃上げ促進税制にはこの注記がありません。自社のケースで扱いに迷う場合は、申請前に事務局と税理士に確かめてください。
交付決定より前に発注しない・見積は早めに
交付決定より前に契約(発注)した経費は、いかなる事情があっても補助対象になりません。
6次公募の交付決定は令和9年1月中旬以降の予定です(各段階の時期は 大規模成長投資補助金のスケジュール)。手続きの順番の考え方は 交付決定前に発注してはいけない理由にまとめています。 採択されたからといって、申請時に計上した経費がそのまま認められるわけでもありません。
採択されたことをもって応募時に計上している経費がすべて補助対象として認められるわけではありません。
応募申請時に計上していない経費を交付申請時に新たに計上することは認められません。
経費は交付申請の段階で精査され、5区分に当たらないと判断されたものは外されます。逆に、申請時に入れ忘れた経費を後から足すことはできません。 発注先の選定は、原則として3社以上の同一条件の相見積もりで、最低価格の業者を選びます(建物・機械装置・ソフトウェアは100万円以上、 外注費・専門家経費は1件あたりの見積額の合計が50万円以上の場合。いずれも税抜)。要領は準備の段階で見積を集めることを勧めています。
申請の準備段階にて予め複数者から見積書を取得いただくと、採択後、遅滞なく交付申請を実施し、交付決定後に補助事業を開始いただけます。
経費を計上する前に確かめる7点
- その経費は5区分のどれに当たるか。区分は減価償却資産の耐用年数等に関する省令にもとづき、法人税の申告時の区分とそろえる
- 建物・機械装置・ソフトウェアは、1つあたり100万円(税抜)以上か
- 投資額の下限(一般20億円以上・100億宣言企業向け15億円以上)を、外注費・専門家経費を除いた税抜の額で満たしているか
- 外注費と専門家経費の合計が、建物費・機械装置費・ソフトウェア費の合計を下回っているか
- 生産能力などが上がらない入れ替え(更新投資)になっていないか
- 3社以上の同一条件の相見積もりを、申請の準備段階で集め始めているか
- 税制(地域未来投資促進税制など)の適用を受ける予定の設備を、補助対象に入れていないか
経費の区分が正しくても、それで採択が決まるわけではありません。審査は計画の中身で行われます。 経費の組み立てを含めて、審査の観点に照らした計画の不足点を書く前に洗い出す分析資料として、論点整理レポートもご用意しています。 申請書・計画書はお客様ご自身で作成いただく前提のサービスです。
よくある質問
Q. 大規模成長投資補助金で、土地の購入費は対象になりますか?
A. なりません。公募要領は建物費の注記で「建物の単なる購入や賃貸、土地代は補助対象外となります。」としています。建物費の対象は、補助事業のために使う建物の建設・増築・改修・中古建物の取得に要する経費で、建物と切り離せない建物附属設備と、土地造成を含む付帯工事も対象に含まれます(6次公募要領 PDF 13ページ)。
Q. 中古の機械設備は対象になりますか?
A. 条件つきで対象になります。3者以上の古物商の許可を得ている中古品流通事業者から、型式や年式が記載された相見積もりを取得している場合は、中古設備も対象になると公募要領に書かれています。価格の妥当性が明確でない中古品は対象外です(6次公募要領 PDF 14・16ページ)。
Q. 自社の社員がソフトウェアを開発する人件費は対象になりますか?
A. なりません。補助対象外の経費に「事業にかかる自社の人件費(ソフトウェア開発等)」が挙げられています。同じ会社の部署間の支払や社内製造も、同一法人内の支払として対象外です(6次公募要領 PDF 16ページ)。
Q. 中小企業経営強化税制などの税制と併用できますか?
A. 公募要領は、賃上げ促進税制・地域未来投資促進税制・中小企業経営強化税制・中小企業投資促進税制・大胆な投資促進税制との併用はできないとしています。後ろの4つには「当該税制の適用を受ける設備以外のものについては、本補助金の補助対象経費として申請することができます」という注記があります(6次公募要領 PDF 39ページ)。自社のケースで扱いに迷う場合は、申請前に事務局と税理士に確かめてください。
確認した一次情報(確認日:2026年10月16日)
- 中堅・中小・スタートアップ企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金(6次公募)公募要領(2026年8月28日更新版)
https://chukentou-seichotoushi-hojo.jp/assets/documents/common/youryou_6ji.pdf - 大規模成長投資補助金 事務局サイト(事業概要・募集概要)
https://chukentou-seichotoushi-hojo.jp/
この記事の位置づけ
自分で書く前に、計画の不足点を確かめる
制度の審査の観点に照らして、現状の分析と計画の不足点をお出しします。申請書はお客様ご自身で作成いただきます。