ウイルス対策ソフトは補助金の対象になるのか公募要領に「ウイルス」は1件も出てきません。出るのは「お助け隊」の利用料だけです
更新日:2026-09-16|補助金 論点整理レポートはAIが作成し、お客様お一人ひとりの内容を行政書士が確認するものではありません。
要点
- デジタル化・AI導入補助金2026の公募要領に「ウイルス」という語は1件も出てきません。通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠の本文を機械検索した結果です(2026年9月16日確認)。 市販のウイルス対策ソフトを買う話ではありません。
- セキュリティ対策推進枠で対象になり得るのは、IPAの「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスのうち、IT導入支援事業者が提供し事務局に事前登録されたものだけです。
- この枠の補助対象経費は「サービス利用料(最大2年分)」の1つだけで、 補助額は5万円〜150万円(補助率1/2以内・小規模事業者は2/3以内)。 機器の購入費もソフトウェアの購入費もありません。
- ★過去にIT導入補助金2022〜2025でお助け隊サービスの交付決定を受けていると、申請できません。検討を始める前に、まずここをご確認ください。
1. 制度ごとの結論
デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)セキュリティ対策推進枠条件つきで対象になり得る
IPAの「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスのうち、IT導入支援事業者が提供し事務局に事前登録されたものに限ります。補助対象経費はサービス利用料(最大2年分)の1つだけで、補助額は5万円〜150万円(補助率1/2以内・小規模事業者は2/3以内)。過去の交付決定歴があると申請できません。
同 通常枠・インボイス枠別の形で入り得る
こちらは「お助け隊」の枠ではありません。セキュリティは大分類II(オプション)のカテゴリー4として、ソフトウェア本体に付ける形で登録されている場合に申請できます。単体では申請できず、何のソフトウェアを入れるかが先に決まります。
小規模事業者持続化補助金(一般型)・中小企業省力化投資補助金(一般型)この目的の費目はありません
どちらもサイバーセキュリティ対策サービスの利用料を受け止める費目を持っていません。販路開拓や省力化という目的に沿った設備・経費が対象で、セキュリティ対策そのものを目的とした申請は想定されていません。
ここから先は、いちばん誤解の多いセキュリティ対策推進枠を順に見ていきます。 なお、いずれの枠でも登録されたITツールとして申請し、審査で採択されて初めて補助金が出ます。対象になり得ることと、実際に出ることは別です。
2. 公募要領に「ウイルス」は出てきません
この記事を書くにあたって、セキュリティ対策推進枠の公募要領(41ページ)、通常枠の公募要領(54ページ)、インボイス枠の公募要領(45ページ)の本文テキストを取り出して、 語の出現件数を数えました(2026年9月16日確認)。
| 語 | 通常枠 | インボイス枠 | セキュリティ対策推進枠 |
|---|---|---|---|
| ウイルス | 0件 | 0件 | 0件 |
| サイバー | 12件 | 12件 | 14件 |
| お助け隊 | 11件 | 11件 | 10件 |
制度が想定しているのは「ウイルス対策ソフトを買うこと」ではなく、「お助け隊サービスを使うこと」です。検索して出てくる記事の多くが「ウイルス対策ソフトに使える」と書いていますが、 その言い方では何を選べばよいかが分かりません。要領が名指ししているのは、次の1つだけです。
3. 対象は「お助け隊サービスリスト」に載っているサービスです
公募要領の原文はこうです。
条件が2段になっています。順番に見てください。
- IPAの「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されていること(IPAのページでご確認ください)
- そのうえで、IT導入支援事業者が提供し、事務局に事前登録されていること
リストに掲載があっても、それを提供するIT導入支援事業者が事務局に登録を行っていなければ、 その回の公募では申請できません。2つの条件は別のもので、片方だけでは足りません。
⚠ 「お助け隊」はソフト単体のことではありません
お助け隊サービスは、機器やソフトを入れて終わりではなく、見守り・駆けつけ・相談までを一括で提供する形が想定されています。月額の利用料を払って使い続けるサービスなので、 買い切りのソフトを1本入れる、という発想とは組み立てが違います。
4. 出るのは「サービス利用料」だけです
ここが、この記事でいちばんお伝えしたい点です。 セキュリティ対策推進枠の公募要領で、補助対象経費として挙げられているのは次の1行だけです。
| 補助対象経費 | 補助率 | 補助額 |
|---|---|---|
| サービス利用料(最大2年分) | 1/2以内 小規模事業者は2/3以内 | 5万円〜150万円 |
ソフトウェア購入費もハードウェア関連費も導入関連費もありません。UTMやファイアウォールの機器代を乗せるつもりで見積を組むと、そこが丸ごと外れます。
⚠ 要領の前のほうにある表と取り違えないでください
公募要領の冒頭には、枠どうしを並べて比べる表があります。そこには 「ソフトウェア購入費、クラウド利用費、ハードウェア関連費、導入関連費」といった言葉も出てきますが、それは通常枠やインボイス枠の欄です。セキュリティ対策推進枠の欄と、枠ごとの本文(この枠では「2-3 補助対象経費、補助率及び補助額」)を 必ず見比べてください。当サイトも一度、別の記事でこの取り違えをして訂正しています。
5. 金額の読み方
補助額は5万円〜150万円です。150万円は上限で、5万円は下限です。補助率は1/2以内、小規模事業者は2/3以内なので、実際にはこうなります。
| サービス利用料(最大2年分) | 補助率1/2以内なら | 補助率2/3以内(小規模事業者)なら |
|---|---|---|
| 12万円(月5,000円×24か月) | 6万円 | 8万円 |
| 48万円(月2万円×24か月) | 24万円 | 32万円 |
下限の5万円があるので、利用料が小さすぎると届きません。補助率1/2で補助額5万円に届かせるには、2年分の利用料が10万円必要という読み方です。 月額数千円のサービスを1つだけ、という構成では下限に届かない可能性があります。
小規模事業者の2/3については、要領に但し書きがあります。
申請したあとで従業員が増えるなどして小規模事業者に当たらなくなると、補助率が下がります。2年分をまとめて申請する枠なので、期間中の変化まで見ておく必要があります。
6. ★一度使うと、二度目はありません
これは検討を始める前に確かめるべき条件です。公募要領の原文はこうです。
つまり、2022年から2025年までのIT導入補助金で、お助け隊サービスを含むITツールの交付決定を受けた会社は、 この枠に申請できません。枠は問われません。通常枠で入れた場合も同じです。
「前に使って便利だったので、契約更新のタイミングでまた補助金を」という使い方は想定されていません。過去の交付決定通知を先に探してください。支援事業者との相談を始めてから分かると、そこまでの時間が無駄になります。
7. 通常枠・インボイス枠の「セキュリティ」は別のものです
ややこしいのですが、通常枠とインボイス枠にも「セキュリティ」という言葉が出てきます。 ただしこちらは、ITツールの分類のうちの1カテゴリーという意味です。
| 大分類 | カテゴリー | 留意点 |
|---|---|---|
| 大分類I ソフトウェア | カテゴリー1(ソフトウェア) | 買取形式のほか、月額・年額のサブスクリプション販売形式は最大2年分が補助対象。 |
| 大分類II オプション | カテゴリー2(機能拡張)/カテゴリー3(データ連携ツール)/カテゴリー4(セキュリティ) | カテゴリー2(機能拡張)は最大1年分が補助対象。 |
| 大分類III 役務 | カテゴリー5(導入コンサルティング・活用コンサルティング)/カテゴリー6(導入設定・マニュアル作成・導入研修)/カテゴリー7(保守サポート) | 大分類IIIの補助対象経費は合計200万円が上限。カテゴリー6・7はカテゴリー1と対になっている場合のみ。 |
セキュリティは大分類II(オプション)のカテゴリー4です。 オプションという位置づけなので、これ単体で申請する形ではなく、何のソフトウェアを入れるかが先に決まります。「セキュリティを強くしたい」から始めるなら、セキュリティ対策推進枠のほうが素直です。
8. 店舗の防犯とは別の話です
「セキュリティ対策の補助金」で検索すると、店舗の防犯カメラの話と混ざって出てきます。この枠が扱うのはサイバー攻撃への対策で、物理的な防犯は含みません。防犯カメラや入退室管理を考えている場合は、防犯カメラは補助金の対象かをご覧ください。自治体や商店街の助成が窓口になることが多く、その領域は当サイトの対応範囲外です。
9. 契約は交付決定を待ってください
この枠でいちばん起こりやすい事故が、ここだと考えています。 セキュリティ対策は「早く入れたほうがよい」ものなので、申請の結果を待たずに契約してしまいがちです。交付決定の前に契約・発注したものは補助対象になりません。
しかも、この枠はサービス利用料を最大2年分まとめて申請する形です。先に契約を始めてしまうと、開始日より前の期間が対象から外れるのではなく、その契約自体が外れます。この線については補助金はいつから対象になるのかに詳しく書いています。
⚠ いま攻撃を受けている、という状況なら補助金を待たないでください
補助金は交付決定を待つ仕組みなので、申請から決定までに時間がかかります。被害が起きている最中に待つ理由はありません。まず対処し、補助金は別の投資のタイミングで考えてください。 IPAには中小企業向けの相談窓口もあります。
10. 確かめ方は、2つ見るだけです
第一にIPAのサイバーセキュリティお助け隊サービスのページで、使いたいサービスの掲載があるかを見てください。 第二に、事務局のITツール・IT導入支援事業者検索で、そのサービス名を検索してください。ここに出てくるのは、IT導入支援事業者が事務局に登録し、採択を受けたITツールとして申請できるものです。ここに出てこないサービスは、その回の公募では申請できません。 登録は公募回ごとに入れ替わり、同じサービスでも登録している支援事業者がいなければ対象外です。当サイトは対象サービスの一覧を掲載しません。載せた時点で古くなるからです。
申請書はご自身で作成いただきます。いまの材料で何が足りないかは、論点整理レポートで確認できます。
公募要領の審査の観点に照らして、事業計画のどこが埋まっていないかを論点として整理します。
デジタル化・AI導入補助金の制度ページを見る11. 落ちやすいポイント
機器代を見積に入れてしまう
この枠の補助対象経費はサービス利用料の1つだけです。 UTMやルーターの本体代、初期設定の費用を積んでも、その分は補助対象から外れます。機器を含めたいなら、そもそも別の枠の話になります。
過去の交付決定歴を確かめずに進める
IT導入補助金2022〜2025でお助け隊サービスの交付決定を受けていると、申請できません。支援事業者に相談する前に、自社の履歴を先に見てください。
利用料が小さすぎて下限に届かない
補助額の下限は5万円です。補助率1/2なら、2年分の利用料が10万円ないと届きません。安いサービスを1つだけ、という構成は枠に乗りません。
「セキュリティ」という語だけで枠を決める
通常枠・インボイス枠の「セキュリティ」はオプションのカテゴリー4で、 お助け隊サービスの枠とは別のものです。どちらの話をしているのかを最初に確定させてください。
12. よくある質問
市販のウイルス対策ソフトを買えば、補助金の対象になりますか?
なりません。セキュリティ対策推進枠で補助対象になるのは、IPAが公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスのうち、IT導入支援事業者が提供し事務局に事前登録されたものだけです。家電量販店やオンラインでご自身で購入する製品は、この枠に乗りません。そもそも2026年の公募要領には「ウイルス」という語が1件も出てきません。
「お助け隊サービス」とは何ですか?
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が、中小企業向けに「見守り・駆けつけ・相談」までを一括で提供するサービスを一定の基準で認めてリスト化したものです。ウイルス対策ソフト単体ではなく、監視と事故が起きたときの対応までが含まれるのが特徴です。どのサービスが掲載されているかはIPAのページでご確認ください。
機器(UTM・ファイアウォール)の購入費は出ますか?
セキュリティ対策推進枠では出ません。この枠の補助対象経費は公募要領の表で「サービス利用料(最大2年分)」の1つだけです。ソフトウェア購入費やハードウェア関連費が書かれているのは枠を横断して比べる表で、そこに並んでいるのは通常枠やインボイス枠の欄です。ご自身の枠の欄をご確認ください。
以前のIT導入補助金でお助け隊サービスを使いました。もう一度使えますか?
使えません。公募要領は、IT導入補助金2022・2023・2024・2025のいずれかの枠で「サイバーセキュリティお助け隊サービス」を含むITツールの交付決定を受けた場合、本事業の申請を行うことはできないとしています。デジタル化・AI導入補助金2026でいずれかの枠に申請中の場合も同じです。検討を始める前に、過去の交付決定歴をご確認ください。
補助額の5万円〜150万円は、何に対する金額ですか?
サービス利用料(最大2年分)に補助率を掛けた後の金額です。補助率は1/2以内、小規模事業者は2/3以内で、下限が5万円あります。2年分の利用料が10万円に満たないサービスだけでは、補助額が下限に届かない可能性があります。なお交付決定後に小規模事業者の定義から外れた場合、補助率は2/3以内から1/2以内へ変わります。
店舗の防犯カメラも、この枠で入れられますか?
入れられません。この枠が扱うのはサイバー攻撃への対策で、店舗の物理的な防犯とは別の話です。防犯カメラについては別の記事にまとめています。自治体や商店街の助成が窓口になることが多く、当サイトの対応範囲外です。
使いたいサービスが対象かどうかは、どこで分かりますか?
2つ見る必要があります。まずIPAのお助け隊サービスリストに掲載があるか、次に事務局の「ITツール・IT導入支援事業者検索」にそのサービスの登録があるかです。リストに載っていても、提供するIT導入支援事業者が事務局に登録していなければ、その回の公募では申請できません。登録は公募回ごとに入れ替わります。当サイトは対象サービスの一覧を掲載していません。
13. 次の一歩
順番はこうです。①過去にお助け隊サービスの交付決定を受けていないかを確かめる → ②IPAのリストで使いたいサービスの掲載を確かめる → ③ITツール検索で、そのサービスの登録がある支援事業者を探す → ④2年分の利用料で補助額の下限に届くかを計算する → ⑤交付決定が出るまで契約・発注しない。
同じシリーズにパソコン・タブレットは補助金の対象か、会計ソフトは補助金の対象か、生成AIの利用料は補助金の対象か、勤怠・労務ソフトは補助金の対象かがあります。
出典:デジタル化・AI導入補助金2026 事務局サイト「セキュリティ対策推進枠」および公募要領(セキュリティ対策推進枠・PDF)、公募要領(通常枠・PDF)、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「サイバーセキュリティお助け隊サービス」(いずれも確認日は2026年9月16日)。 補助対象経費・補助率・上限額・申請できる条件は、公募回ごとに変わることがあります。 実際の申請にあたっては、必ずご自身が申請する回の公募要領をご確認ください。 特定のサービスが補助対象として登録されているかどうかは、事務局のITツール検索でご確認ください。