勤怠管理・労務ソフトは補助金の対象になるのか150万円を境に、賃上げが「加点」から「必須」に変わります
更新日:2026-09-09|補助金 論点整理レポートはAIが作成し、お客様お一人ひとりの内容を行政書士が確認するものではありません。
要点
- 対象になり得ます。勤怠・労務は「総務・人事・給与・教育訓練・法務・情シス・統合業務」のプロセスに当たり得ます。
- ただしインボイス枠では出せません。インボイス枠は会計・受発注・決済の機能が対象です。勤怠・労務は通常枠になります。
- 150万円が境目です。150万円未満なら賃上げは加点、150万円以上なら必須要件になります。
- ジョブカン・KING OF TIME・SmartHRのようなサービスも、支援事業者が登録し、採択を受けていれば同じ扱いです。
- いま使っている契約を、あとから補助対象にすることはできません。
1. 勤怠・労務は、どのプロセスに当たるのか
事務局は、通常枠の要件をこう書いています。
共通プロセスとして挙げられているのは、次の区分です。
- 顧客対応・販売支援
- 決済・債権債務・資金回収管理
- 供給・在庫・物流
- 会計・財務・経営
- 総務・人事・給与・教育訓練・法務・情シス・統合業務
勤怠・労務・給与は、この最後の区分に当たり得ます。 ジョブカン・KING OF TIME・SmartHR・マネーフォワード クラウド勤怠のようなサービスも、IT導入支援事業者が事務局に登録し、採択を受けていれば同じ扱いになります。製品名で決まるのではありません。
2. インボイス枠では出せません(ここを間違える人が多い)
インボイス枠(インボイス対応類型)の対象になるのは、インボイス制度に対応した「会計」「受発注」「決済」の機能を持つソフトウェアです。勤怠・労務はここに含まれません。
この差は小さくありません。インボイス枠の補助率は3/4以内(小規模事業者は4/5以内)、通常枠は1/2以内です。会計ソフトやレジの記事を読んで「補助率3/4」の感覚のまま勤怠を検討すると、 見込んでいた額と実際が大きくずれます。
⚠ 給与ソフトを一緒に入れる場合は、枠の見立てを先に相談してください
給与計算が「会計」に当たるかどうかは、その製品がどのプロセスで登録されているかによります。当サイトで判定することはできません。支援事業者と公募要領で、どの枠・どのプロセスで申請するのかを先に決めてください。 枠を誤ると、計画の中身以前に土俵に乗りません。
3. ★150万円を境に、賃上げの重みが変わります
通常枠の補助額は、申請するITツールが持つ業務プロセスの数で区分が変わります。 そしてその区分によって、賃上げの扱いが変わります。
| プロセス数 | 補助額 | 賃上げの内容 | 扱い |
|---|---|---|---|
| 1プロセス以上 | 5万円以上150万円未満 | 給与支給総額の年平均成長率 3.5%以上 | 加点項目 |
| 4プロセス以上 | 150万円以上450万円以下 | 事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上 | 必須要件 |
公募要領の原文はこうです。
勤怠・労務は、ちょうどこの境目をまたぎます。 勤怠だけなら1プロセスで150万円未満に収まりますが、 労務手続きや給与、人事評価まで含む統合型を選ぶと150万円以上の区分に乗ります。金額を大きくしたいという理由だけで統合型を選ぶと、 あとから「事業場内最低賃金+30円」を満たせないと分かる——という順番になりかねません。
事業計画の期間は「交付申請時点の翌事業年度以降3年間の事業計画」です。 いま払える額ではなく、3年間払い続けられる額で考えてください。
4. 労働生産性は、勤怠こそ書きやすい
労働生産性は「(営業利益+人件費+減価償却費)÷ 総労働時間」で考えます。勤怠システムは、この式の分母に直接効きます。しかも、いまの総労働時間を答えられない会社は少ないはずです。 他のツールより数字を書きやすい分野です。
書くべきは「効率化されるため」ではなく、たとえばこういう形です。 締め日の集計に毎月何時間かかっていて、それが何時間になるのか。 打刻の修正依頼が月に何件あって、それが何件になるのか。いまの数字を先に出すところから始めてください。
5. 対象かどうかを確かめる方法は、ひとつだけです
事務局のITツール・IT導入支援事業者検索で、「ツール名から探す」に製品名を入れて検索してください。ここに出てこない製品は、今回の公募では対象になりません。登録は公募回ごとに入れ替わりますし、同じ製品でも支援事業者によって扱いが違います。 当サイトは対象製品の一覧を載せません。載せた瞬間に古くなるからです。
6. 契約は、交付決定を待ってからです
いま使っている勤怠システムの利用料を、あとから補助対象にすることはできません。 乗り換えやプラン変更も、交付決定より前に契約すると対象外になります。勤怠システムは「4月から」「期初から」と切り替え時期を決めがちなので、 その日付から逆算して交付決定が間に合うかを先に見てください。詳しくは補助金はいつから対象になるのかにまとめてあります。
7. 出せば通る制度ではありません
事務局が公表している交付決定率は、3次締切分(通常枠)で42.2%です。この制度には「採択」という段階がなく、交付申請に対して交付決定が出るかどうかで 決まります。半分以上は決定に至っていません。制度ごとの数字は主要補助金の採択率まとめに、出典つきで並べています。
申請書はご自身で作成いただきます。いまの材料で何が足りないかは、論点整理レポートで確認できます。
公募要領の審査の観点に照らして、事業計画のどこが埋まっていないかを論点として整理します。
デジタル化・AI導入補助金の制度ページを見る8. 落ちやすいポイント
金額から先に決める
「450万円まで出るなら大きく入れよう」と考えると、150万円以上の区分に入り、 賃上げが必須要件になります。先に賃上げができるかを決めて、そこから金額を決めてください。順番が逆だと、計画を書き直すことになります。
「働き方改革だから通る」と考える
残業削減や有休管理は、それ自体が加点になるわけではありません。 見られるのは労働生産性が上がるかどうかです。 残業が減った結果、分母の総労働時間がどう変わるのかを書いてください。
枠を確かめずに準備を進める
勤怠・労務は通常枠です。インボイス枠のつもりで見積書を集めると、 補助率も上限も違ってきます。最初の30分で、枠だけは確定させてください。
9. よくある質問
ジョブカン・KING OF TIME・SmartHRなどは対象になりますか?
対象になり得ます。ただし製品名で決まるのではなく、IT導入支援事業者が事務局に登録し、採択を受けたITツールとして申請する形です。使いたい製品が登録されているかは、事務局の「ITツール検索」で製品名を検索して確かめてください。ここに出てこない製品は今回の対象になりません。同じ製品でも、登録している支援事業者がいなければ対象外です。
勤怠管理システムをインボイス枠で申請できますか?
インボイス枠(インボイス対応類型)の対象になるのは、インボイス制度に対応した「会計」「受発注」「決済」の機能を持つソフトウェアです。勤怠・労務はここに含まれないため、通常枠での申請になります。補助率は通常枠が1/2以内、インボイス枠が3/4以内(小規模事業者は4/5以内)なので、枠を取り違えると見込んでいた額と実際が大きくずれます。ご自身が申請する回の公募要領で必ずご確認ください。
勤怠だけを入れる場合と、給与や労務まで入れる場合で何が変わりますか?
補助額の区分が変わります。1プロセス以上で5万円以上150万円未満、4プロセス以上で150万円以上450万円以下です。そして150万円以上の区分では、賃上げが加点項目ではなく必須要件になります(事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にすること)。金額を大きくしたいという理由だけで統合型を選ぶと、あとから必須要件を満たせないことに気づく形になりかねません。
紙のタイムカードをやめるだけでも申請できますか?
審査で見られるのは機器や仕組みを入れ替えたことではなく、労働生産性が上がるかどうかです。公募要領には「1年後に労働生産性を3パーセント以上向上させること」とあります。集計にかかっている時間、締め日前後の残業、打刻ミスの手直しなど、誰のどの作業が月に何時間減るのかを数字で書けるかどうかが分かれ目になります。
いま使っている勤怠システムの月額料金は対象になりますか?
交付決定より前に契約したものは対象になりません。すでに使っている契約をさかのぼって補助対象にすることはできません。乗り換えや上位プランへの変更を考えている場合も、交付決定を待ってから契約する形になります。
10. 次の一歩
順番はこうです。①賃上げができるかを決める(ここで150万円の上か下かが決まる)→ ②入れたいソフトウェアを決める → ③ITツール検索で登録を確かめる → ④交付決定が出るまで契約しない → ⑤いまの総労働時間を出してから事業計画を書く。
同じシリーズに会計ソフトは補助金の対象か、レジの入れ替えは補助金の対象か、生成AIの利用料は補助金の対象か、ネットショップ・ホームページは補助金の対象かがあります。事業計画の書き方はデジタル化・AI導入補助金の事業計画の書き方にまとめてあります。
出典:デジタル化・AI導入補助金2026 事務局サイト「通常枠」、公募要領(通常枠・PDF)および「インボイス枠(インボイス対応類型)」(いずれも2026年9月9日確認)。 要件・補助率・補助額の区分・賃上げの取扱いは公募回ごとに変わることがあります。 実際の申請にあたっては、必ずご自身が申請する回の公募要領をご確認ください。 特定の製品が補助対象として登録されているかどうかは、事務局のITツール検索でご確認ください。