展示会の出展費は補助金の対象か持続化補助金だけが専用の費目を持ち、申込みの時期にも例外がある
更新日:2026-09-15|補助金 論点整理レポートはAIが作成し、お客様お一人ひとりの内容を行政書士が確認するものではありません。
⚠ この記事が扱う範囲
中小企業向けの主要4制度について、展示会・商談会への出展にかかる経費の扱いを公募要領の原典で確かめたものです (確認日:2026年9月15日)。条文・金額は原文どおりに引用しています。 個別の経費が対象になるかどうかの判断は各事務局が行います。 公募要領は版によって文言が変わります。申請の前に、必ず最新版と事務局の案内をご確認ください。
要点
- ★展示会のための費目を名前で持っているのは持続化補助金だけです (④展示会等出展費)。他の2制度は広告宣伝・販売促進費の中に含め、省力化投資補助金(一般型)には費目も語も出てきません。
- ★★交付決定の前に申し込んでも構わない、という明文の例外があります。持続化補助金で、展示会等への出展の申込みについてだけ認められています。 ただし請求書の発行が交付決定日以後であることが条件です。
- ★持続化の④展示会等出展費には上限額の定めがありません。 同じ制度でも②広報費・③ウェブサイト関連費には30万円(税込)の上限が付いています。
- ★出展料だけでなく運搬費・通訳料・翻訳料も同じ費目に入ります (レンタカー代・ガソリン代・駐車場代は除く)。会場との往復と宿泊は⑤旅費です。
- ★売るだけの催事は通りません。「販売のみを目的とし、販路開拓に繋がらないもの」が対象外に明記されています。
1. 展示会の費目を持っているのは1制度だけ
「展示会の出展に補助金が使えます」という案内は多いのですが、制度を並べると立て付けがかなり違います。 専用の費目を持つ制度、広告費の一部として扱う制度、そもそも扱いが無い制度に分かれます。
小規模事業者持続化補助金(一般型・通常枠)
費目:④展示会等出展費(専用の費目)
上限:この費目には上限の定めなし
出典:第20回公募 公募要領 第8版(2026年7月21日)「④展示会等出展費」
④展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)新商品等を展示会等に出展または商談会に参加するために要する経費/展示会出展の出展料等に加えて、関連する運搬費(レンタカー代、ガソリン代、駐車場代等は除く)・通訳料・翻訳料も補助対象となります。
4制度でただひとつ、展示会のための費目を名前で持っています。出展料だけでなく、運搬費・通訳料・翻訳料までこの費目に含めます。★②広報費と③ウェブサイト関連費には30万円(税込)の上限が付いていますが、この費目にはその一文がありません。会場との往復と宿泊は⑤旅費で別に計上します。
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金
費目:広告宣伝・販売促進費(枠の限定なし)
上限:売上高見込み額(税抜き)の5%
出典:第1回公募要領 1.2版(令和8年8月)「広告宣伝・販売促進費」
補助事業で製造又は提供する製品・サービスに必要な広告(パンフレット、動画、写真等)の作成及び媒体掲載、補助事業の PR 等に係るウェブサイトの構築、展示会出展、ブランディング・プロモーションに係る経費/※4 補助事業実施期間内に広告が使用・掲載されること、ウェブサイトが公開されること、展示会が開催されること等が必要です。なお、交付決定後の発注・契約が前提となります。
専用の費目はなく、広告宣伝・販売促進費の中に「展示会出展」が並びます。枠の限定はありません。ただし上限は金額ではなく売上見込みからの計算式で、★「交付決定後の発注・契約が前提となります。」と明記されています。持続化のような申込みの例外は書かれていません。
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
費目:広告宣伝・販売促進費(グローバル枠の輸出事業のみ)
上限:補助対象経費総額(税抜き)の2分の1
出典:公募要領(第22次公募)R7.10.24/最終改訂 R7.12.08
広告宣伝・販売促進費(グローバル枠のうち、海外市場開拓(輸出)に関する事業のみ)※ 上限額は補助対象経費総額(税抜き)の 2 分の 1/本事業で開発する新製品・新サービスの海外展開に必要な広告(パンフレット、動画、写真等)の作成及び媒体掲載、展示会出展等、ブランディング・プロモーションに係る経費。
「展示会出展等」の語はありますが、使えるのはグローバル枠のうち海外市場開拓(輸出)に関する事業だけです。国内の展示会を通す設計にはなっていません。★こちらも「交付決定後の発注・契約が前提となります。」と書かれています。海外渡航は別に海外旅費という費目があります。
中小企業省力化投資補助金(一般型)
費目:費目そのものが無い
上限:—
出典:公募要領(第6回公募)2026年3月「3-1 補助対象経費」
機械装置・システム構築費/運搬費/技術導入費/知的財産権等関連経費/外注費/専門家経費/クラウドサービス利用費
補助対象経費の区分は7つで、展示会にあたるものがありません。要領の本文を機械的に検索すると「展示会」「見本市」「出展」「商談会」「販路開拓」のいずれの語も出てきません。省力化のための設備投資を見る制度なので、販路開拓という発想じたいが入っていません。
2. 交付決定の前に申し込んでもよい、数少ない例外
補助金でいちばん多い事故は、交付決定の前に契約・発注してしまうことです。 当サイトでも繰り返し書いてきました。ところが展示会には、その原則に対する明文の例外があります。持続化補助金の公募要領に、こう書かれています。
※展示会等への出展の申込みについてのみ、交付決定前の申込みでも補助対象となります (ただし、請求書の発行が交付決定日以後でなければ補助対象外です)
④展示会等出展費の「対象とならない経費」の側にも、同じ趣旨が添えられています。
請求書の発行日や出展料等の支払日が交付決定日より前となるもの (展示会等の出展について、出展申込みは交付決定前でも構いません。)
読み方は2つに分かれます。申込みは先でも構いません。けれども請求書の発行日と支払日が交付決定日より前になると、その経費は落ちます。展示会は早い時期に枠が埋まるため、申込みだけ先に入れられるようにしてある、と読めます。 主催者に支払いのタイミングを相談できるかどうかが、実務では分かれ目になります。
⚠ 他の制度では同じ読み方をしないでください
新事業進出補助金とものづくり補助金は、広告宣伝・販売促進費について 「交付決定後の発注・契約が前提となります。」と書いており、申込みの例外は見当たりません。 この例外は持続化補助金の、展示会等への出展の申込みについての記述です。 交付決定前の契約という論点そのものは補助金はいつから対象になるのかで整理しています。
3. 出展費には上限が無い。広告費には30万円がある
持続化補助金の費目を並べると、上限の一文が付いているものと、付いていないものがあります。 ②広報費と③ウェブサイト関連費には、それぞれ次の一文があります。
当経費の補助金交付申請額の上限は 30 万円(税込)です。
④展示会等出展費には、この一文がありません。 チラシやホームページに寄せると30万円で頭打ちになる一方、出展料そのものは費目としての上限を持たない、という形です。 もちろん制度全体の補助上限(通常枠50万円、特例の上乗せ)はかかりますし、 採否と経費の可否は事務局が判断します。 それでも、同じ「販路開拓」の予算をどの費目に置くかで通り方が変わる、という点は押さえておく価値があります。
他の2制度は上限の形が違います。新事業進出補助金は 「事業計画期間1年当たりの、補助事業で新たに製造等する製品等の売上高見込み額(税抜き)の5%」、 ものづくり補助金は「補助対象経費総額(税抜き)の 2 分の 1」で、 こちらはグローバル枠のうち海外市場開拓(輸出)に関する事業だけが対象です。
4. 出展料の周りは、どこまで同じ費目に入るか
見落としやすいのが、出展料以外の費用の置き場所です。持続化補助金は④にこう書いています。
展示会出展の出展料等に加えて、関連する運搬費(レンタカー代、ガソリン代、駐車場代等は除く)・通訳料・翻訳料も補助対象となります。
商品を会場へ送る運送費、海外バイヤー向けの通訳、資料の翻訳までが同じ費目です。 ただし自分で車を出す分(レンタカー・ガソリン・駐車場)は外れます。 人が移動する費用は④ではなく⑤旅費で、こちらは 「販路開拓 (展示会・商談会等の会場との往復を含む。)等を行うための旅費」と定義され、 対象となる経費例に「販路開拓のための展示会等への出展に係る宿泊施設への宿泊代」が挙がっています。 一方で日当・タクシー代・グリーン車やビジネスクラスの付加料金分は対象外です。
会場を自分で借りる場合は費目が変わります。公募要領は 「自社で開催するイベントの会場を借りるための費用は、⑦借料に該当します。」とし、 「出展等にあたり必要な機械装置等の購入は、①機械装置等費に該当します。」としています。展示会まわりの費用は、1つの費目にまとまらないという前提で組んでください。
5. 売るだけの催事は、販路開拓とみなされない
④展示会等出展費の「対象とならない経費」には、8つが並びます。実務で効くのは次のあたりです。
販売のみを目的とし、販路開拓に繋がらないもの/補助事業期間外に開催される展示会等に係るもの/ 選考会、審査会(○○賞)等への参加・申込費用/飲食費を含んだ商談会参加費等/ 国(国以外の機関が、国から受けた補助金等により実施する場合を含む)により出展料の一部助成を受けるもの
物販だけのイベントは通りにくい、という線引きです。 会期が補助事業期間から外れていれば、内容にかかわらず対象外になります。 自治体や商工団体から出展料の助成を受けている展示会も、二重に受け取れません。申し込む前に、会期・助成の有無・その場で何をするのかを確認してください。
6. 対象経費に入っても、採択されなければ出ない
対象経費に入ることと、採択されることは別です。補助金は申請すれば通るものではありません。 対象経費だと確認できても、審査を通って採択されなければ交付決定には進まず、支払いも起こりません。 さらに採択されたあとも、実績報告と確定検査を通って初めて支払われます。 展示会は会期を動かせないので、採択されなかった場合と交付決定が遅れた場合の両方を考えておいてください。 公募要領じたいが「採択結果の公表(P.3)および交付決定は、当初予定より遅延する場合があります。」と断っています。
7. よくある質問
交付決定の前に展示会へ申し込んでしまいました。対象外になりますか?
持続化補助金には、この場面についてだけ明文の例外があります。公募要領には「※展示会等への出展の申込みについてのみ、交付決定前の申込みでも補助対象となります(ただし、請求書の発行が交付決定日以後でなければ補助対象外です)」と書かれています。④展示会等出展費の対象外リストにも「(展示会等の出展について、出展申込みは交付決定前でも構いません。)」と添えられています。つまり申込みは先でも構いませんが、請求書の発行日と支払日が交付決定日より前になると対象外です。展示会は早期申込で枠が埋まるため、この一文が置かれていると読めます。なお、新事業進出補助金とものづくり補助金は「交付決定後の発注・契約が前提となります。」と書いており、同じ例外は見当たりません。
展示会の出展料に上限はありますか?
持続化補助金の④展示会等出展費には、上限額を定める一文がありません。同じ制度でも②広報費と③ウェブサイト関連費には「当経費の補助金交付申請額の上限は 30 万円(税込)です。」が付いていますが、④にはその文がないということです。ただし制度全体の補助上限(通常枠50万円、インボイス特例や賃金引上げ特例の上乗せ)は当然かかります。新事業進出補助金は売上高見込み額の5%、ものづくり補助金は補助対象経費総額の2分の1という上限が別途あります。
出展のための旅費や宿泊代は対象になりますか?
持続化補助金には⑤旅費という別の費目があり、「補助事業計画(様式 2)に基づく販路開拓 (展示会・商談会等の会場との往復を含む。)等を行うための旅費」と定義されています。対象となる経費例に「販路開拓のための展示会等への出展に係る宿泊施設への宿泊代」が挙がっています。一方で対象とならない経費例には「日当」「ガソリン代・駐車場代・タクシー代・レンタカー代・高速道路通行料・グリーン車・ビジネスクラス等の付加料金分」「朝食付き・温泉入浴付き宿泊プランにおける朝食料金・入浴料相当分」「視察・セミナー等参加のための旅費」などが並びます。航空券は「エコノミークラス分の料金までが補助対象」とされています。
商品を会場まで運ぶ費用や、通訳・翻訳の費用は?
持続化補助金では④展示会等出展費に含めます。公募要領は「展示会出展の出展料等に加えて、関連する運搬費(レンタカー代、ガソリン代、駐車場代等は除く)・通訳料・翻訳料も補助対象となります。」と書いています。自分で車を出す場合の費用は外れる、という書き方です。なお「実績報告の際に提出する証拠書類の翻訳料」は対象とならない経費例に挙がっています。
自社で開催するイベントや、コンテストへの応募は対象になりますか?
持続化補助金の公募要領は「自社で開催するイベントの会場を借りるための費用は、⑦借料に該当します。」として、④とは別の費目に振り分けています。また④の対象とならない経費例には「選考会、審査会(○○賞)等への参加・申込費用」があります。ほかに「販売のみを目的とし、販路開拓に繋がらないもの」「補助事業期間外に開催される展示会等に係るもの」「飲食費を含んだ商談会参加費等」も対象外です。売るだけの催事は販路開拓とみなされない、という線引きです。
対象経費に入っていれば、補助金は必ずもらえますか?
いいえ。対象経費かどうかと、採択されるかどうかは別の話です。どの制度も申請すれば全件が通るわけではなく、審査を経て採択されたものだけが交付決定に進みます。さらに採択されたあとも、実績報告と確定検査を通って初めて支払われます。展示会は会期が動かせないので、採択されなかった場合や交付決定が遅れた場合にどうするかを、申し込む前に決めておいてください。
8. どの制度で出すかを先に決める
展示会は、費目の有無・上限の形・申込みの時期の扱いが制度ごとに違います。 どの制度のどの枠を狙うか、審査で何が問われるかを先に整理しておくと、 出展の申込みと支払いの段取りから変わります。 当サービスの論点整理レポートは、その論点を整理した分析資料をお出しするものです(申請書の作成代行ではありません)。
同じ考え方で調べた記事:広告宣伝費/防犯カメラ/冷蔵・冷凍設備
出典
- 小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第20回公募 公募要領(第8版)
- 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回公募要領
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(第22次公募)
- 中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領(第6回公募)
本記事は2026年9月15日時点の各公募要領にもとづく整理です。制度の内容・対象経費・上限額は公募回ごとに変わります。 最終的な採否と経費の可否は各事務局の判断によります。申請前に必ず最新の公募要領をご確認ください。