採用・人材紹介手数料は補助金の対象か4制度とも受け止める費目がない。人に払う費用は別の系統で扱われる
更新日:2026-09-15|補助金 論点整理レポートはAIが作成し、お客様お一人ひとりの内容を行政書士が確認するものではありません。
⚠ この記事が扱う範囲
中小企業向けの主要4制度(経済産業省系)について、採用・人材紹介手数料・人件費の扱いを 公募要領の原典で確かめたものです(確認日:2026年9月15日)。条文は原文どおりに引用しています。 ★厚生労働省の雇用関係助成金は当社の対応範囲外です。記事の末尾で公式の一覧をご案内しています。 個別の経費が対象になるかどうかの判断は各事務局が行います。申請の前に、必ず最新版と事務局の案内をご確認ください。
要点
- ★「人材紹介」「紹介手数料」という語は、4制度の公募要領に一度も出てきません。受け止める費目が用意されていない、ということです。
- ★★持続化補助金は「成功報酬型の費用」を名指しで対象外にしています。 人材紹介の手数料は採用決定時の成功報酬が一般的で、その形そのものが書かれています。
- ★自社の人件費は4制度とも対象外です。 省力化投資補助金は「自社の人員で実施する場合の人件費を計上することは認められません。」とまで書いています。
- ★省力化投資補助金の要領には「人手不足」が7回出てきます。 それでも人を採る費用は出ません。この制度の答えは、人ではなく設備です。
- ★ものづくり補助金だけは、費用は出ないのに審査項目で人材育成の取り組みを見ています。
1. 4制度とも、人に払う費用の置き場所がない
「採用にも補助金が使えます」という案内を見かけますが、経済産業省系の主要4制度に限って言えば、 採用や人材紹介手数料を受け止める費目はありません。 言葉じたいが要領に出てこないので、解釈の余地というより、そもそも守備範囲が違うという話です。
小規模事業者持続化補助金(一般型・通常枠)
扱い:費目なし。成功報酬型の費用を名指しで対象外
出典:第20回公募 公募要領 第8版(2026年7月21日)「(4)補助対象外となる経費」
役員報酬、直接人件費/売上高や販売数量、契約数等に応じて課金される経費や成功報酬型の費用/謝金/雑役務費(アルバイト代などの人件費、派遣労働者の派遣料、交通費として支払われる経費等)
★4制度でここだけが「成功報酬型の費用」を名指しで対象外にしています。人材紹介の手数料は、採用が決まったときに理論年収の何割かを払う形が一般的です。その形そのものが対象外の側に書かれている、ということです。派遣料とアルバイト代も別に挙がっています。求人広告は②広報費の対象とならない経費例にあります。
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金
扱い:費目なし。自社の人件費が対象外
出典:第1回公募要領 1.2版(令和8年8月)「補助対象外経費」
事業に係る自社の人件費、旅費(補助対象経費で定める「海外旅費」を除く。)
人件費を対象外と書いています。要領の本文に「人材紹介」「紹介手数料」「求人」「研修」「教育訓練」のいずれの語も出てきません。設備投資と事業計画を見る制度で、人を採る費用を受け止める場所が用意されていません。
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
扱い:費目なし。ただし審査では人材育成を見る
出典:公募要領(第22次公募)R7.10.24/最終改訂 R7.12.08
事業に係る自社の人件費(ソフトウェア開発等)/(審査項目)将来にわたって企業が成長するため、従業員間の技能指導や外部開催の研修への参加、資格取得促進等、従業員の部門配置に応じた人材育成に取り組んでいるか。
★ここが他と違います。人件費は対象外ですが、審査項目には人材育成への取り組みが入っています。つまり、育てる取り組みは経費として出ないのに、計画に書いてあるかどうかは見られる、という構造です。人に使う費用を補助金で賄う話と、人を育てる計画を書く話は別だと考えてください。
中小企業省力化投資補助金(一般型)
扱い:費目なし。人手不足への答えが「設備」
出典:公募要領(第6回公募)2026年3月「3-2 補助対象外経費」
事業にかかる自社の人件費・旅費・交際費 ※社内システム・自社の基幹システム等の開発・改修を自社の人員で実施する場合の人件費を計上することは認められません。
★制度の名前と中身のねじれがいちばん大きいところです。要領には「人手不足」が7回出てきます。それでも人を採る費用は出ません。この制度が用意している答えは、人を増やすことではなく設備で省力化することだからです。「人材紹介」「紹介手数料」「求人」はいずれも要領に出てきません。
2. 「成功報酬型」が名指しで書かれている
人材紹介の手数料は、採用が決まったときに理論年収の何割かを支払う形が一般的です。 持続化補助金の補助対象外となる経費には、その支払いの形そのものが並んでいます。
売上高や販売数量、契約数等に応じて課金される経費や成功報酬型の費用
同じリストには「役員報酬、直接人件費」「謝金」 「雑役務費(アルバイト代などの人件費、派遣労働者の派遣料、交通費として支払われる経費等)」も並びます。正社員の採用、アルバイトの雇用、派遣の利用、どれも同じ扱いです。人に払うお金は、この制度の想定に入っていません。
3. 自社の社員が働いた分も出ない
外に払う費用だけではありません。自社の人件費も4制度とも対象外です。 省力化投資補助金は、そこにさらに一文を足しています。
事業にかかる自社の人件費・旅費・交際費 ※社内システム・自社の基幹システム等の開発・改修を自社の人員で実施する場合の人件費を計上することは認められません。
外注すれば対象になる費用が、自社でやると対象にならない、ということです。 補助金は外部への支払いを補助する仕組みなので、この線引きは4制度で共通しています。「内製すれば安く上がるので、その分を補助金で」という組み立ては通りません。
4. 人手不足と書いてある制度でも、出るのは設備
いちばん誤解を生みやすいのが省力化投資補助金です。 要領の本文に「人手不足」は7回、「省力化」は58回出てきます。 名前からも中身からも人の問題を扱う制度に見えますが、この制度が用意している答えは、人を採ることではなく設備で省力化することです。補助対象経費は機械装置・システム構築費など7区分で、人に関するものはありません。
一方でものづくり補助金は、少し違う形をしています。人件費は対象外ですが、審査項目にこう書かれています。
将来にわたって企業が成長するため、従業員間の技能指導や外部開催の研修への参加、資格取得促進等、従業員の部門配置に応じた人材育成に取り組んでいるか。
費用としては出ないが、取り組みは審査で見られる。人材育成は経費の話ではなく、事業計画の説得力の話として扱われている、と読めます。
⚠ 交付決定の前に動かないこと
採用にせよ設備にせよ、交付決定の前に契約・発注してしまうと対象外になります。 省力化投資補助金は「交付決定前に発生した経費 ※いかなる理由であっても事前着手は認められません。」と、 4制度でいちばん強い書き方をしています。詳しくは補助金はいつから対象になるのかをご覧ください。なお展示会の出展申込みだけは例外が書かれている制度があり、その話は展示会の出展費は補助金の対象かで扱っています。
5. 人の費用は、別の系統で扱われている
採用・雇用にかかわる公的な支援が無いわけではありません。扱っている役所が違います。 経済産業省系の補助金が設備投資や販路開拓を見るのに対し、 雇用に関する支援は厚生労働省の雇用関係助成金という別の系統にまとまっています。 目的も、申請先も、審査の考え方も違う制度群です。
当社は経済産業省系の補助金を扱っており、雇用関係助成金は対応範囲外です。公式の一覧は厚生労働省「事業主の方のための雇用関係助成金」にあります。なお同じページで、厚生労働省の委託事業者を名乗って無料査定などを持ちかける勧誘への 注意喚起も出ています。声をかけられたときは、まず公式のページを見てください。
6. 対象経費に入っても、採択されなければ出ない
対象経費に入ることと、採択されることは別です。補助金は申請すれば通るものではありません。 対象経費だと確認できても、審査を通って採択されなければ交付決定には進まず、支払いも起こりません。 さらに採択されたあとも、実績報告と確定検査を通って初めて支払われます。 採用は時期をずらしにくい意思決定なので、補助金の結果待ちで動かす計画にはしないでください。
7. よくある質問
人材紹介会社に払う成功報酬は、補助金の対象になりますか?
ここで扱っている4制度の公募要領には、「人材紹介」「紹介手数料」という語が一度も出てきません。受け止める費目が用意されていない、ということです。さらに小規模事業者持続化補助金は、補助対象外となる経費に「売上高や販売数量、契約数等に応じて課金される経費や成功報酬型の費用」を挙げています。人材紹介の手数料は採用決定時に支払う成功報酬型が一般的なので、この記述に正面から当たります。最終的な可否は事務局の判断ですが、要領の書き方からは通りにくいと読むのが自然です。
求人広告の費用はどうですか?
持続化補助金の②広報費の「対象とならない経費例」に「商品・サービスの宣伝広告を目的としない広告・看板・会社案内パンフレット作成・求人広告(単なる会社の営業活動に活用されるものとして対象外)」と書かれています。広報費は商品・サービスを売るための費目で、人を集めるための費目ではない、という整理です。ほかの3制度には求人広告にあたる記述そのものがありません。
自社の社員が補助事業の作業をした分の人件費は計上できますか?
4制度とも対象外としています。持続化補助金は「役員報酬、直接人件費」、新事業進出補助金は「事業に係る自社の人件費、旅費(補助対象経費で定める「海外旅費」を除く。)」、ものづくり補助金は「事業に係る自社の人件費(ソフトウェア開発等)」、省力化投資補助金は「事業にかかる自社の人件費・旅費・交際費」と書いています。省力化投資補助金はさらに「社内システム・自社の基幹システム等の開発・改修を自社の人員で実施する場合の人件費を計上することは認められません。」と念を押しています。自社で作れば安く済む、という設計は補助金では評価されません。
研修や資格取得の費用は出ますか?
この4制度の補助対象経費に、研修費や教育訓練費にあたる費目はありません。ただしものづくり補助金は審査項目として「従業員間の技能指導や外部開催の研修への参加、資格取得促進等、従業員の部門配置に応じた人材育成に取り組んでいるか。」を挙げています。費用は出ないが、取り組みは審査で見られる、という位置づけです。事業計画に書く意味はあります。
人を採るための公的な支援は、どこを見ればよいですか?
採用・雇用にかかわる支援は、経済産業省系の補助金ではなく、厚生労働省の「雇用関係助成金」という別の系統で扱われています。制度の目的も、申請先も、審査の考え方も違います。当社は経済産業省系の補助金を扱っており、雇用関係助成金は対応範囲外です。厚生労働省のサイトに一覧のページがあるので、そちらをご確認ください。なお厚生労働省は同じページで、委託事業者を名乗って助成金の無料査定などを持ちかける勧誘への注意も出しています。
対象経費に入っていれば、補助金は必ずもらえますか?
いいえ。対象経費かどうかと、採択されるかどうかは別の話です。どの制度も申請すれば全件が通るわけではなく、審査を経て採択されたものだけが交付決定に進みます。さらに採択されたあとも、実績報告と確定検査を通って初めて支払われます。人の採用は時期をずらしにくいので、補助金の結果を待って動かす計画にはしないほうが安全です。
8. 人ではなく、何に投資するかを決める
人手が足りないという課題に対して、経済産業省系の補助金が用意している答えは設備と仕組みです。 同じ課題を、採用ではなく省力化として組み立て直せるかどうかで、使える制度が変わります。 どの制度のどの枠を狙うか、審査で何が問われるかを先に整理しておくと、投資の決め方から変わります。 当サービスの論点整理レポートは、その論点を整理した分析資料をお出しするものです(申請書の作成代行ではありません)。
同じ考え方で調べた記事:展示会の出展費/広告宣伝費/防犯カメラ
出典
- 小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第20回公募 公募要領(第8版)
- 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回公募要領
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(第22次公募)
- 中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領(第6回公募)
- 厚生労働省「事業主の方のための雇用関係助成金」
本記事は2026年9月15日時点の各公募要領にもとづく整理です。制度の内容・対象経費・上限額は公募回ごとに変わります。 最終的な採否と経費の可否は各事務局の判断によります。申請前に必ず最新の公募要領をご確認ください。