店舗の内装・改装は補助金の対象か受け止める費目があるのは2制度。残る2制度には「建物費」がそもそも無い
更新日:2026-09-15|補助金 論点整理レポートはAIが作成し、お客様お一人ひとりの内容を行政書士が確認するものではありません。
⚠ この記事が扱う範囲
中小企業向けの主要4制度について、内装・改装工事がどの費目で扱われるかを公募要領の原典で確かめたものです (確認日:2026年9月15日)。個別の工事が対象になるかどうかの判断は各事務局が行います。 公募要領は版によって文言が変わります。申請の前に、必ず最新版と事務局の案内をご確認ください。
要点
- 「内装工事に使える補助金」とひとくくりにはできません。制度によって、工事を受け止める費目がまったく違います。
- 受け皿の費目を持つのは2制度。持続化補助金は「⑧委託・外注費」、新事業進出補助金は「建物費」という独立の区分です。
- ものづくり補助金と省力化投資補助金(一般型)には、建物費にあたる区分がありません。ものづくり補助金の要領には「建物費」「内装」「改装」の語が一度も出てきません。
- ★この2制度が共通して外しているのが「設置場所の整備工事や基礎工事」です。 機械本体と同じ見積書にまとめると、ここで削られます。
- ★持続化補助金は「住宅兼店舗の改装工事における住宅部分」を対象とならない経費例に挙げています。自宅兼店舗の方はここを先に確認してください。
1. 同じ「内装工事」でも、制度によって費目が違う
内装工事の見積を1枚持って、複数の制度を順に当たる。よくある進め方ですが、これがうまくいきません。 4制度を並べると、工事をどこで受け止めるかの設計が根本から違うからです。
⑧委託・外注費
出典:第20回公募 公募要領 第8版(2026年7月21日)「⑧委託・外注費」
店舗改装・バリアフリー化工事/利用客向けトイレの改装工事/製造・生産強化のためのガス・水道・排気工事/従業員の作業導線改善のための従業員作業スペースの改装工事
これは「対象となる経費例」に並んでいる文言です。工事そのものを外注費として受け止める設計になっています。4制度の中で、店舗の改装を名指しで例示しているのはこの制度です。
建物費
出典:第1回公募要領 1.2版(令和8年8月)「1-6-1 補助対象経費の区分」
専ら補助事業のために使用される生産施設、加工施設、販売施設、検査施設、作業場、その他事業計画の実施に不可欠と認められる建物の建設・改修に要する経費
「建物費」という独立した区分を持っています。改修も区分の中に入っています。ただし同じ箇所に「建物の単なる購入や賃貸は対象外です。」と書かれており、取得や賃借は別扱いです。
建物費という費目なし
出典:公募要領(第22次公募)R7.10.24/最終改訂 R7.12.08「2.7.2 補助対象外となる経費」
工場建屋、構築物、簡易建物(ビニールハウス、コンテナ、ドームハウス等)の取得費用及びこれらを作り上げるための組み立て用部材の取得費用。/設置場所の整備工事や基礎工事に要する費用。
補助対象経費の区分に建物費がありません。さらに「建物費」「内装」「改装」という語自体が、この要領に一度も出てきません。工事を通す前提で設計されていない制度だ、と読むほかありません。
建物費という費目なし
出典:公募要領(第6回公募)2026年3月「3-2 補助対象外経費」
不動産(土地、建物、構築物)の取得費用、及びこれらを作り上げるための組み立て用部材の取得費用/簡易建物(ビニールハウス、コンテナ、ドームハウス等)も補助対象外です。/設置場所の整備工事や基礎工事に要する費用
こちらも区分に建物費がありません。機械装置・システム構築費など7区分で構成されており、工事を単独で立てる場所が用意されていません。
2. 機械を入れるための工事は、機械代に入れられない
ものづくり補助金と省力化投資補助金(一般型)で、工事の見積が削られる典型がここです。 どちらの要領も「設置場所の整備工事や基礎工事に要する費用」を補助対象外に置いたうえで、 機械装置費に含められる「据付け」の範囲をこう限定しています。
「据付け」とは、本事業で新たに購入する機械装置の設置と一体で捉えられる軽微なもの (設置場所に固定等)に限ります。設置場所の整備工事や基礎工事は含みません。
機械を導入するには床を補強し、配線を引き、場合によっては壁を抜きます。 その費用を機械代と同じ見積書に一本化して出すと、この線で分解されます。見積は、機械本体と工事を最初から分けて取ってください。
3. 自宅兼店舗は、住宅部分が外れる
持続化補助金の「⑧委託・外注費」には、店舗改装が対象となる経費例として挙がっている一方で、 「対象とならない経費例」にこう書かれています。
補助事業で取り組む販路開拓や業務効率化に結びつかない工事(単なる店舗移転を目的とした 旧店舗・新店舗の解体・建設工事、住宅兼店舗の改装工事における住宅部分、 既存の事業部門の廃止にともなう設備の解体工事など)
自宅の一部を店舗にしている方は少なくありません。水回りや空調のように住宅部分と分けにくい工事ほど、 この線引きが効いてきます。関連して、住宅宿泊事業者については按分の方法が要領に書かれています。
住宅宿泊事業者が改装を行う場合、「住宅のうち事業の用に供する部分の面積」により按分した金額が対象となります。
自社の工事をどう按分するかは、事務局に確認して回答を記録に残してください。 その記録は、後から交付決定や確定検査で説明を求められたときにも効きます。
もうひとつ、増築は工事ではなく不動産の取得として扱われます。持続化補助金は 「『建物の増築・増床』や『小規模な建物(コンテナハウス等)の設置』など『不動産の取得』に係る費用」を 対象外に挙げています。今ある建物の中を直すのか、床を増やすのかで、制度上の意味が変わります。
⚠ よくある事故
交付決定の前に契約・発注してしまうと、対象になるはずだった経費も対象外になります。 内装工事は職人の手配の都合で「先に契約を」と言われやすく、ここで事故が起きます。詳しくは補助金はいつから対象になるのかをご覧ください。
4. 対象経費に入っても、採択されなければ出ない
対象経費に入ることと、採択されることは別です。補助金は申請すれば通るものではありません。 対象経費だと確認できても、審査を通って採択されなければ交付決定には進まず、支払いも起こりません。 さらに採択されたあとも、実績報告と確定検査を通って初めて支払われます。 工事は着工してしまうと戻せないので、採択されなかった場合の資金繰りを先に決めておいてください。
自治体が独自に行う店舗改装の助成(商店街の活性化、空き店舗の活用など)も別にあります。 当サービスはそちらに対応していません。都道府県別の補助金・助成金に公式情報へのリンクをまとめていますので、お住まいの自治体の窓口や商工会・商工会議所にご相談ください。
5. よくある質問
店舗の内装工事に使える補助金はどれですか?
4制度を見比べると、工事を受け止める費目を持っているのは持続化補助金(⑧委託・外注費)と新事業進出補助金(建物費)です。ものづくり補助金と省力化投資補助金(一般型)には、建物費にあたる区分がそもそもありません。「内装工事に使える補助金」とひとくくりにせず、狙う制度を先に決めてから見積を取ってください。
自宅兼店舗の改装はどうなりますか?
持続化補助金の公募要領は、⑧委託・外注費の「対象とならない経費例」に「住宅兼店舗の改装工事における住宅部分」を挙げています。店舗部分と住宅部分を分けて考える必要があるということです。なお住宅宿泊事業者については「『住宅のうち事業の用に供する部分の面積』により按分した金額が対象となります」と書かれています。自社の按分方法は事務局に確認してください。
機械を入れるための基礎工事は対象になりますか?
ものづくり補助金と省力化投資補助金(一般型)は、どちらも「設置場所の整備工事や基礎工事に要する費用」を補助対象外としています。機械装置費に含められる「据付け」は、設置場所に固定する程度の軽微なものに限る、という注記も両方に置かれています。機械本体と工事を同じ見積書にまとめると、この線で削られます。
店舗を移転するための工事は対象になりますか?
持続化補助金の「対象とならない経費例」には「補助事業で取り組む販路開拓や業務効率化に結びつかない工事(単なる店舗移転を目的とした旧店舗・新店舗の解体・建設工事…)」と書かれています。移転そのものが目的の工事は想定されていません。
対象経費に入っていれば、補助金は必ずもらえますか?
いいえ。対象経費かどうかと、採択されるかどうかは別の話です。どの制度も申請すれば全件が通るわけではなく、審査を経て採択されたものだけが交付決定に進みます。さらに採択されたあとも、実績報告と確定検査を通って初めて支払われます。
6. どの制度で通すかを先に決める
この記事のとおり、工事は「どの制度で出すか」を決めてからでないと見積の取り方すら決まりません。 どの制度のどの枠を狙うか、審査で何が問われるかを先に整理しておくと、工務店への依頼の仕方から変わります。 当サービスの論点整理レポートは、その論点を整理した分析資料をお出しするものです(申請書の作成代行ではありません)。
同じ考え方で調べた記事:車両・運搬具は補助金の対象か/太陽光・蓄電池は補助金の対象か
出典
- 小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第20回公募 公募要領(第8版)
- 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回公募要領
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(第22次公募)
- 中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領(第6回公募)
本記事は2026年9月15日時点の各公募要領にもとづく整理です。制度の内容・対象経費は公募回ごとに変わります。 最終的な採否と経費の可否は各事務局の判断によります。申請前に必ず最新の公募要領をご確認ください。