事業承継・M&A補助金の事業計画の書き方事業承継促進枠・専門家活用枠にしぼって、審査の観点・補助率と上限額・章立てと落ちやすい点を整理(16次公募)
更新日:2026-09-19|補助金 論点整理レポートはAIが作成し、お客様お一人ひとりの内容を行政書士が確認するものではありません。
この記事でわかること
- 1 この制度で審査・確認されること(事業承継促進枠・専門家活用枠それぞれの補助率・上限額)
- 2 書く前に揃える材料(要件と材料の対応表)
- 3 事業計画の章立てと、各章で答える問い
- 4 落ちやすいポイント
- 5 よくある質問/自分で書く人の次の一歩
この記事は16次公募の事業承継促進枠と専門家活用枠(買い手支援類型・売り手支援類型)だけを対象にしています。16次公募は受付開始 2026年10月2日、締切 2026年11月6日(金)17:00(※厳守)です。公募説明会は10月9日(金)14:00〜 (申込は10月7日(水)17:00まで)、採択は12月下旬以降 順次(予定)、交付申請受付は 2027年1月上旬〜11月中旬(予定)、交付決定は2027年1月下旬以降 順次(予定)です。 直近の採択率は15次61.3%(応募551者・採択338者・不採択213者)、14次60.7%でした。 この記事は16次公募の事業承継促進枠・専門家活用枠の公募要領を2026年9月19日に確認して書いています。 数値・期限は公募回ごとに変わることがあるので、申請前に必ず公式サイトで最新版をご確認ください。
1. この制度で審査・確認されること
事業承継・M&A補助金は、事業の承継、M&Aによる買収・譲渡、買収後の統合(PMI)、廃業からの再挑戦を 支援する制度です。16次公募の公募要領は「事業承継促進枠」「専門家活用枠(買い手支援類型・ 売り手支援類型・小規模売り手支援類型)」「PMI推進枠」「廃業・再チャレンジ枠」で、枠・類型ごとに 7本に分かれて発行されています。この記事では、そのうち事業承継促進枠と専門家活用枠(買い手支援類型・売り手支援類型)だけを扱います。PMI推進枠・廃業・再チャレンジ枠・小規模売り手支援類型は、それぞれ別の公募要領が あることのご案内にとどめ、金額・要件の数値はこの記事には書きません。該当する場合は、公式サイトで対応する公募要領をご確認ください。
1-1. 事業承継促進枠
事業承継促進枠の16次公募要領によれば、書面審査の着眼点は次の4つです。
- 【取組の目的・必要性】
- 【取組の実現可能性】
- 【取組の収益性】
- 【取組の継続性】
補助率は小規模事業者等 2/3以内、 該当しない場合は1/2以内です。 補助上限額は800万円又は1,000万円で、基準年度の翌年度に 従業員1人当たりの給与支給総額の上昇率が3%以上となる賃上げを 達成する場合に1,000万円になります。ただし、800万円を超え1,000万円以下の部分の補助率は1/2以内です。廃業費を計上する場合の補助上限額は300万円です。
生産性向上要件として、「付加価値額」又は「1人当たりの付加価値額」の伸び率が3%/年向上することを含む計画であることが求められます。
補助対象経費(事業費)は、設備費・産業財産権等関連経費・謝金・旅費・外注費・委託費です。 廃業費は、廃業支援費・在庫廃棄費・解体費・原状回復費・リースの解約費・土壌汚染調査費・ 移転・移設費が対象です。
加点事由は13項目あります。賃上げ要件は2%以上で 従業員に表明していることが条件で(補助上限額を1,000万円にする3%以上とは別の基準です)、 このほか経営力向上計画などの計画認定、事業継続力強化計画認定、健康経営優良法人、 アトツギ甲子園出場者などが挙げられます。減点事由は、過去18か月の間に中小企業庁が所管する 補助金に申請した内容について、賃上げ加点の要件等が未達成の場合です。
事業承継対象期間は、2026年11月6日から5年後の2031年11月5日までです。
⚠ 800万円を超える部分は補助率が変わる
補助上限額が1,000万円になっても、800万円までの部分と、800万円を超え1,000万円以下の部分では 補助率が異なります。「上限が1,000万円だから常に2/3」ではありません。
1-2. 専門家活用枠
専門家活用枠の16次公募要領には、買い手支援類型(Ⅰ型)と売り手支援類型(Ⅱ型)の2つの類型があります。
買い手支援類型は、補助率2/3以内、 補助上限額600万円です。 デューデリジェンス(DD)を実施する場合は、200万円を 補助上限額に加算できます。
売り手支援類型は、補助率1/2以内です。 物価高等の影響や直近決算期が赤字であるなど、公募要領が定める場合には2/3以内になります(この条件の細目は、公募要領原文で ご確認ください)。売り手支援類型の補助上限額は、一次情報からは確認できていないため、 この記事には書きません。
補助下限額は50万円です。補助対象経費は、 謝金・旅費・外注費・委託費・システム利用料・保険料・廃業費です。廃業費の補助上限額は、 事業承継促進枠と同じ300万円です。
補助事業期間内に経営資源の引継ぎ(クロージング)が実現しなかった場合、補助上限額 (300万円)の変更があります。
加点事由は9つあります(個別の項目名は、この記事では扱いません)。
1-3. 両枠に共通する事項
補助事業期間は、いずれの枠も2027年1月(下旬予定)から14か月以内です。 交付決定前の契約・発注・支払いは補助対象外で、契約・発注が交付決定日以降かつ補助事業期間内、 支払いも同期間内に完了している経費だけが対象になります。
第三者に出してもらう書類として、履歴事項全部証明書・住民票(いずれも申請日以前3か月以内に 発行されたもの)、認定経営革新等支援機関の確認書があります。
2. 書く前に揃える材料 — 要件と材料の対応表
書き始めてから材料を探すと、途中で止まります。要件のひとつひとつが「どの材料で証明されるか」を 先に対応づけておくと、足りない材料が書く前に分かります。事業承継促進枠と専門家活用枠は要件が 異なるので、枠ごとに分けて確認してください。
事業承継促進枠
| 審査・確認される点 | なぜ見られるか | 用意する材料 |
|---|---|---|
| 補助上限額の判定(800万円 or 1,000万円) | 基準年度の翌年度に従業員1人当たり給与支給総額の上昇率3%以上を達成すると1,000万円になる(800万円超〜1,000万円の部分は補助率1/2以内) | 基準年度の給与支給総額の実績と、翌年度の賃上げ計画 |
| 補助率(小規模事業者等 2/3以内/該当しない場合 1/2以内) | 自社が小規模事業者等に該当するかで補助率が変わる | 常時使用する従業員数など、小規模事業者等の該当性を示す資料 |
| 生産性向上要件(付加価値額 又は 1人当たりの付加価値額の伸び率 3%/年) | この伸び率の向上を含む計画であることが求められる | 直近の決算書と、承継後の付加価値額(営業利益・人件費・減価償却費)の見込み試算 |
| 廃業費を計上する場合の補助上限額300万円 | 廃業費(廃業支援費・在庫廃棄費・解体費・原状回復費・リースの解約費・土壌汚染調査費・移転移設費)は事業費と別枠で上限が定められている | 廃業費に該当する経費区分ごとの見積り |
| 加点事由(13項目) | 該当すれば加点される。賃上げは2%以上を従業員に表明していることが条件(補助上限引上げの3%以上とは別の基準) | 経営力向上計画などの計画認定、事業継続力強化計画認定、健康経営優良法人、アトツギ甲子園出場実績など、該当し得る認定・表明の状況 |
| 減点事由(過去18か月以内に中小企業庁所管補助金へ申請した内容で、賃上げ加点の要件等が未達成の場合) | 該当すると減点される | 過去18か月以内に申請した中小企業庁所管補助金と、その賃上げ加点要件の達成状況の確認 |
| 事業承継対象期間(2026年11月6日〜2031年11月5日) | この期間内に事業承継を行う計画であることが前提 | 承継の実施時期を含んだスケジュール |
専門家活用枠
| 審査・確認される点 | なぜ見られるか | 用意する材料 |
|---|---|---|
| 類型の該当性(買い手支援類型=Ⅰ型/売り手支援類型=Ⅱ型) | 類型によって補助率・補助上限額が異なる | 自社が買い手・売り手のどちらの立場か、対象取引の概要の整理 |
| 補助率・補助上限額(買い手支援類型:2/3以内・600万円。デューデリジェンス実施時は200万円を加算) | デューデリジェンス(DD)を実施するかどうかで補助上限額が変わる | 専門家(謝金・外注費・委託費など)の費用見積り。DDを実施する場合はその範囲・費用 |
| 補助率(売り手支援類型:1/2以内。物価高等の影響や直近決算期が赤字であるなど、公募要領が定める場合は2/3以内) | 条件を満たすかどうかで補助率が変わる。条件の細目は公募要領原文で確認する | 直近決算期の状況(黒字・赤字)など、該当し得る条件の裏づけ資料 |
| 補助下限額50万円 | 経費総額がこれを下回ると対象にならない | 対象経費(謝金・旅費・外注費・委託費・システム利用料・保険料・廃業費)の積み上げ見積り |
| 廃業費を計上する場合の補助上限額300万円 | 専門家活用枠でも廃業費は事業承継促進枠と同じ上限が定められている | 廃業費に該当する経費区分ごとの見積り |
| 経営資源の引継ぎ(クロージング)の実現見通し | 補助事業期間内にクロージングが実現しなかった場合、補助上限額(300万円)の変更がある | クロージングに向けたスケジュールと、実現しなかった場合の想定 |
| 加点事由(9項目) | 該当すれば加点される(個別の項目名は公募要領原文で確認する) | 該当し得る取組・認定の状況の洗い出し |
材料が足りているか、先に確かめたい方へ
当サービスの論点整理レポートは、この制度の審査の観点に照らして、いまの材料で何が足りないかを整理した分析資料です。 申請書はご自身で作成いただきます。作成例を見る/この制度のページ
3. 事業計画の章立てと、各章で答える問い
ここでは「書き写せる文例」は載せません。文例をなぞった計画は、審査する側から見るとすぐに分かりますし、 自社の取組の説明にならないからです。代わりに、各章で答えるべき問いを置きます。問いに自社の言葉で答えていけば、章が埋まります。枠によって章立ての骨格が異なるため、 該当する枠のほうをご覧ください。
事業承継促進枠の章立て
第1章承継の背景と現状
- 誰から誰へ、どのような形(親族内・従業員承継・第三者承継など)で引き継ぐ計画か
- 承継が必要になった経緯・課題は何か
- 現経営者・承継者それぞれの実績や強みは何か
第2章取組の目的・必要性
- なぜ今、この承継を行う必要があるのか
- 承継によって解決される課題は何で、自社の成長や地域経済等の発展にどうつながるか
第3章取組の実現可能性
- 承継までの手法・プロセスはどこまで具体化されているか
- 事業承継対象期間(承継申請期日から5年後まで)に収まる計画か
第4章取組の収益性
- 承継後の売上・利益の見通しと、その根拠は何か
- 生産性向上要件(付加価値額 又は 1人当たりの付加価値額の伸び率 3%/年)を満たす見込みはどこから導かれるか
第5章取組の継続性
- 計画どおりに進まなかった場合、事業が継続されるようどのような備えがあるか
- 賃上げ計画(加点狙いなら2%以上、補助上限引上げ狙いなら3%以上)は、この収益見通しと整合しているか
専門家活用枠の章立て
第1章類型の選択根拠
- 買い手支援類型(Ⅰ型)・売り手支援類型(Ⅱ型)のどちらに該当するか、その根拠は何か
- 対象となる取引(買収・譲渡)の概要はどのようなものか
第2章専門家活用の内容
- どの専門家に、どの業務(謝金・外注費・委託費・システム利用料・保険料などに該当する範囲)を依頼するか
- デューデリジェンス(DD)を実施する場合、その範囲と費用はどれくらいか
第3章引継ぎ(クロージング)に向けた見通し
- 経営資源の引継ぎは、補助事業期間内(交付決定日から14か月以内)のいつ、どのように実現する計画か
- クロージングに向けて、現時点でどこまで交渉・準備が進んでいるか
第4章引継ぎ後の計画
- (買い手の場合)引き継いだ経営資源をどう活かし、どのような収益・シナジーを見込むか
- (売り手の場合)引継ぎ後の自社・従業員・取引先への影響はどう見込んでいるか
第5章リスクと対応
- クロージングが補助事業期間内に実現しなかった場合、どう対応する計画か(補助上限額の変更があることを踏まえて)
事業承継促進枠は「目的・必要性 → 実現可能性 → 収益性 → 継続性」という書面審査の着眼点の順で 章を並べると、審査の観点とそのまま対応します。専門家活用枠は、類型の選択根拠と専門家活用の内容を 先に固めたうえで、クロージングに向けた見通しとリスク対応を書く順が書きやすい構成です。
4. 落ちやすいポイント
要件を満たしているのに評価されない計画には、型があります。公募要領の要件・記載事項と照らして、 特に多いものを挙げます。
「補助上限額800万円」とだけ理解している
事業承継促進枠の補助上限額は、賃上げ要件(従業員1人当たり給与支給総額の上昇率3%以上)を 達成する場合に1,000万円になります。上限額だけでなく、800万円を超える部分は補助率が 1/2以内に変わることも合わせて押さえてください。
廃業費を「事業費に300万円上乗せ」と誤解する
廃業費の補助上限額300万円は、事業費の補助上限額に上乗せされる金額ではなく、廃業費という 経費区分そのものの上限です。事業費と廃業費を混同して積算しないでください。
専門家活用枠の類型を取り違える
買い手支援類型(Ⅰ型)と売り手支援類型(Ⅱ型)は、補助率・補助上限額の考え方が異なります。 自社が買い手か売り手かを先に確定させてから経費を積算してください。
売り手支援類型の補助率を「常に2/3」と思い込む
売り手支援類型の補助率は基本1/2以内で、物価高等の影響や直近決算期が赤字であるなど、 公募要領が定める場合に限って2/3以内になります。条件の細目は公募要領原文で確認してください。
クロージングが実現しなかった場合の扱いを計画に入れていない
専門家活用枠は、補助事業期間内に経営資源の引継ぎ(クロージング)が実現しなかった場合、 補助上限額(300万円)の変更があります。クロージングに至らないリスクとその対応も、 継続性・リスクの章で触れておくべき論点です。
賃上げ要件の「2%」と「3%」を混同する
事業承継促進枠では、加点を狙う賃上げの表明は2%以上、補助上限額を1,000万円にする賃上げ達成は 3%以上と、基準が異なります。どちらを狙っているかを明確にしてください。
事業承継対象期間・補助事業期間を混同する
事業承継促進枠の事業承継対象期間(2026年11月6日から2031年11月5日まで)と、 両枠共通の補助事業期間(2027年1月(下旬予定)から14か月以内)は別の期間です。 どちらの期間内に何を完了させる計画かを分けて書いてください。
⚠ 交付決定前の契約・発注・支払いは対象外
契約・発注が交付決定日以降かつ補助事業期間内で、支払いも同期間内に完了している経費だけが 対象です。採択された直後に動き出さず、交付決定を待ってから契約・発注してください。
5. よくある質問
Q. PMI推進枠・廃業・再チャレンジ枠・小規模売り手支援類型は扱っていますか?
A. この記事では扱っていません。16次公募の公募要領は「事業承継促進枠」「専門家活用枠(買い手支援類型・売り手支援類型・小規模売り手支援類型)」「PMI推進枠」「廃業・再チャレンジ枠」で別々に発行されています。この記事は事業承継促進枠と専門家活用枠(買い手支援類型・売り手支援類型)だけを対象にしているので、それ以外の枠・類型で申請する場合は、該当する公募要領を公式サイトでご確認ください。
Q. 事業承継促進枠の補助上限額は800万円と1,000万円のどちらですか?
A. 基本の補助上限額は800万円です。基準年度の翌年度に、従業員1人当たりの給与支給総額の上昇率が3%以上となる賃上げを達成する場合に、補助上限額が1,000万円になります。ただし800万円を超え1,000万円以下の部分の補助率は1/2以内です(800万円までの部分は、小規模事業者等は2/3以内、それ以外は1/2以内)。
Q. 専門家活用枠の売り手支援類型(Ⅱ型)の補助上限額はいくらですか?
A. 16次公募要領(専門家活用枠)の一次情報からは確認できていないため、この記事では書いていません。買い手支援類型(Ⅰ型)は補助上限額600万円(デューデリジェンスを実施する場合は200万円を加算)です。売り手支援類型の補助上限額は、必ず公募要領原文でご確認ください。
Q. 交付決定前に発注・契約してしまった経費は対象になりますか?
A. 対象になりません。契約・発注が交付決定日以降であり、かつ補助事業期間内に行われ、支払いも補助事業期間内に完了している経費だけが対象です。交付決定前の契約・発注・支払いは、いずれの枠でも補助対象外です。
Q. 事業計画は自分で書かないといけませんか?
A. 申請者本人による作成が基本です。2026年施行の改正行政書士法により、報酬を得て申請書類の作成を引き受けられるのは行政書士に限られることが明確化されました。自分で書く場合は、この記事の章立てに沿って材料を揃え、足りない点を整理してから書き始めると進めやすくなります。
6. 自分で書く人の次の一歩
順番は、自社が事業承継促進枠・専門家活用枠のどちらに当たるか(専門家活用枠なら買い手・売り手の どちらか)を決める → 材料を対応表で揃える → 章ごとの問いに答える → 第三者に出してもらう書類 (履歴事項全部証明書・住民票・認定経営革新等支援機関の確認書)の依頼を締切前に済ませる、です。 16次公募の締切は2026年11月6日(金)17:00(※厳守)です。次回以降の公募回でも大きな章立ての 骨格は変わらない見込みですが、補助率・上限額・締切などの数値は公募回ごとに公募要領で確認してください。
申請書はご自身で作成いただきます。いまの材料で何が足りないかは、論点整理レポートで確認できます。
この制度の審査の観点・公式リンクは制度ページにまとめてあります。論点整理レポートは、自社の材料を入力すると、審査の観点に照らして足りない点を整理した分析資料です。