AIで補助金の申請書類を作るのは違法なのか
更新日:2026-08-17|補助金 論点整理レポートはAIが作成し、お客様お一人ひとりの内容を行政書士が確認するものではありません。
要点(30秒まとめ)
- AIを使うこと自体は違法ではありません。問題になるのは道具ではなく、「誰が書類を作ったことになるのか」です。
- ご自身の申請のためにご自身でAIを使うのは、規制の対象外です。
- 一方、行政書士でない事業者が報酬を得て申請書類を作成することは、 2026年1月施行の改正行政書士法で「いかなる名目によるかを問わず」禁止されています。
- 公的な見解でも、書類作成の基礎・参考となる資料の提供にとどまる限りは「作成」に当たらないと整理されています。助言・資料提供と、本文の作成の間に線があります。
- サービスを選ぶときは「申請書の本文そのものが出てくるのか」 「行政書士が関与する場合、誰と契約するのか」を確認してください。
道具の問題ではなく、作成者の問題
「AIで補助金の申請書を作るのは違法か」という問いは、実は問いの立て方がずれています。 行政書士法は、ワープロを使ったか手書きかを問題にしていません。 規制しているのは 「他人の依頼を受け、報酬を得て、業として、書類を作成すること」 です。
ですから、同じAIツールでも次の2つは扱いが違います。
| 状況 | 扱い |
|---|---|
| 自社の申請のために、自分でAIを使って書く | 規制の対象外(本人が作成しているため) |
| 行政書士でない事業者が、報酬を得て申請書の本文を作って渡す | 行政書士法19条に触れる可能性がある |
| 行政書士が受任し、AIを道具として使って作成する | 行政書士の業務として問題ない |
2026年の改正で何が明確になったか
2026年1月1日に施行された改正行政書士法では、報酬を得て官公署提出書類を作成する行為について、「いかなる名目によるかを問わず」規制の対象であることが明文化されました。 従来、「書類作成料ではなくコンサルティング料である」という整理で活動する事業者がありましたが、 名目を変えても評価は変わりません。
罰則も整備されています。違反した個人には1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金、 法人にも100万円以下の罰金が科され得ます(両罰規定)。
補助金の申請書類は「官公署に提出する書類」です
線はどこにあるのか — 「助言」と「作成」
では、専門家でない事業者は何もできないのかというと、そうではありません。 公表されている公的な見解では、書類の作成にあたっての基礎・参考となる資料の提供にとどまる限り、「作成」には当たらないと整理されています。制度の選び方の助言、審査で見られる観点の説明、 必要書類の案内といった支援は、資格がなくても行えます。
つまり、線は「成果物として何を渡すか」にあります。
「作成」に当たりうるもの
- 申請書の様式に沿った、そのまま提出できる文章
- 申請者本人の立場(一人称)で書かれた、完成した事業計画の本文
- 電子申請システムへの入力・提出の代行
「作成」に当たらないと整理されているもの
- 制度の解説、公募要領の読み方の説明
- 審査で見られる観点に照らした、現状の分析や不足点の指摘
- 書類作成の基礎・参考となる資料の提供
- 本人が書いたものへの助言・コメント
「無料だから安全」とは言えません
事業者としての確認ポイント
サービスを選ぶときは、次の4点を確認してください。 いずれも、まともなサービスであれば明記されているはずの事項です。
- 何が出てくるのか。申請書の本文そのものが出てくるのか、それとも分析・助言なのか。 前者を行政書士以外が有料で提供している場合は、慎重にご検討ください。
- 行政書士が関与する場合、誰と契約するのか。委任契約の相手方が行政書士本人か、それとも運営会社か。 運営会社が受任者になっている場合、書類を作っているのは誰かが曖昧になります。
- 報酬を誰が決めているのか。行政書士の報酬は本来、行政書士自身が定めるものです。 運営会社が一律に決めている場合は、関与の実態を確認する価値があります。
- 領収書は誰の名義で出るのか。システム利用料と書類作成報酬が分かれておらず、 すべて運営会社名義で発行される場合、書類作成の対価を運営会社が受け取っていることになります。
当社の場合
この記事は解説であると同時に、当社が自社のサービスをこう設計した理由の説明でもあります。 中立を装うより、立場を書いたほうが判断材料になると考えるので、正直に書きます。
当社は書類を作成しません。システムの提供のみを行います。 行政書士が関与しないプランでお渡しするのは、申請書ではなく分析資料(論点整理レポート)です。審査の観点に照らして、 いまの材料では何が足りないかをお示しします。申請書はお客様ご自身で作成いただきます。
申請書そのものの作成を行政書士に依頼するメニューは、現在ご用意していません(体制が整い次第ご案内します)。 当社がお出しするのは分析資料までで、申請書はお客様ご自身で作成いただきます。
上の「確認ポイント」4つは、そのまま当社にも当てはめてご確認いただけます。
よくある質問
Q. AIツールで補助金の事業計画を考えるのは違法ですか?
A. 違法ではありません。行政書士法が規制しているのは「他人の依頼を受け、報酬を得て、業として」書類を作成することです。ご自身が自分の申請のためにAIを使うことは、この規制の対象ではありません。
Q. AIが作った文章をそのまま申請書に貼っても大丈夫ですか?
A. ご自身の申請にご自身で使う限り、法律上の問題はありません。ただし、AIが事実でない数値や実績を書いていないかは必ずご確認ください。実態と異なる内容で申請すると、不正受給として返還や交付取消しの対象になり得ます。
Q. 有料のAIサービスが申請書の全文を出してくれるのは問題ないのですか?
A. そのサービスが行政書士(または行政書士法人)でない場合、報酬を得て官公署提出書類を作成していると評価される可能性があります。適法性はサービスの設計次第で一概には言えませんが、利用前に「誰が書類の作成者になるのか」を確認されることをおすすめします。
Q. 依頼した側(事業者)も罰せられますか?
A. 行政書士法19条の罰則は、業として行った者と、その法人(両罰規定)に向けられたものです。依頼した事業者を罰する規定ではありません。ただし支援業者が摘発された場合、申請の継続に支障が出る可能性はあります。
Q. 無料のサービスなら問題ないのですか?
A. 「無料だから安全」とは言い切れません。改正法は「いかなる名目によるかを問わず」報酬性を判断するため、無料の生成が有料サービスへの導線になっている場合、全体として対価を得ていると評価される余地があります。
参照情報
- 行政書士法(e-Gov法令検索)——最新の条文はこちらで確認できます。
- 経済産業省・各省庁のグレーゾーン解消制度の回答は、各省庁のサイトで公表されています。 個別のサービスに関する回答は、そのサービスの構成を前提としたものであり、 他のサービスに当然に及ぶものではありません。
- 2026年施行の改正行政書士法で補助金申請サポートはどう変わった?
この記事の位置づけ